第2話
学年が一つ上がっても、その光景が変わることはなく、よりいっそう雲に近づいているようにさえ感じた。
入学初日の時は、前の席の人が声をかけてくれたが、一年も経つと仲良しのグループができていたりと、もう誰も私には見向きもしない。そういえば、前の席の彼女とは別のクラスになったのだろうか。もう顔も憶えていないのではあるが。
窓の外の雲は、八方美人であるかのように顔を変え、雨を降らし、また神様に綺麗に塗りつぶされている日もあった。そして紙吹雪が舞い、どうということのない日が散っていった。
何のために生きているのか、それともすでに雲と成り果てたのか。別段青に塗られたくない訳ではない。一人がいいと思うことも、また足並み揃えて歩こうとも考えてはいない。
何をしなくとも過ぎゆく時間の中で、私は一人取り残されているのだろうか。
きっと誰かが私を見つけてくれないかぎり、私の生きる意味さえも見つけ出せないのではないか。
そしてまた、青に覆われた雲のように、永く何もない空をただよっていく、そんな意味なんてあるのかもわからない、代わり映えのない一年が幕を閉じ、新たに幕を開けようとしていた。これまでのように、これといったこともなく、何も意味をもたないことが始まっていくのだと考えながら。
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