第3話 サボり魔の登校


 珍しくシランが学校へ登校した。


今となっては奇跡的というくらいの事件であったようで、それを目の当たりにしたクラスメイトと担任教師はみんなぽかーんと口を開けている。


 そうしている内に朝礼のチャイムは校内に鳴り響いた。


 日付で言えばあのセールスマンがやってきて約一週間後の事である。



 我に帰った教師やクラスメイト達はもう一度シランを見て



「お、え、、、本当にシランだな?よく来たな!先生心配だったんだぞ!?」



「よぉーシラン!いつまでサボってんだよぉー!www」



 とクラス内はシランを受け入れてくれだお陰で少しはホッとしたシラン。

 席に座り、一時限目がもう開始五分前となり急いで準備を始め出すシラン。



「さて、一時限目はなんだっけ?英語か・・・・・あれ、教科書がねぇ、、。」



 机の中をごちゃごちゃ探してもない、カバンの中身を漁っても全くない、、、。




「はっ!!」




 そうだ、シランは思い出した。あれはつい先日のこと、和室でうとうと寝かけていた時だ。



 カサカサカサカサ・・・カサッカサカサ・・・・



「んあぁ、、なんか物音すんなぁ、はぁぁぁ〜〜んんーん?」



 目をこすり、あくびをしながらのんきにその方向を見てみると、、、。ゴギ親子が仲良くシランの食べかけのポテトチップスの袋の中へとダイブしていた。



「あぁぁあーー!!!!俺のおやつ〜!!まだ一枚しか食ってないのにぃぃぃーー!!」



 立ち上がり、鬼の形相のシランはで近くにあった手頃な丸めやすいものを手にし、ポテトチップスの袋を輪ゴムできつく縛りつけた。そのまま捨てると思いきや、怒りは収まらないシランは某太鼓ゲームの連打のごとくその袋を連打連打連打ーーーーー!!!!




 その時!!!輪ゴムが古かったのかプチン!っと切れ、そのままシランの顔面に勢いよく命中!!そして振りかざしていたものも勢いを殺し切れず袋から生還したゴギ親子に・・・・・。



 そして、その丸めたものこそ英語の教科書であった。

 今、その誇り高き教科書はリサイクルされ、蘇っているのか、はたまたゴミ処理場にて灰と化しているのかは、誰もわかるわけがなかった。


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 時は現在に戻り、



「はぁぁ、隣のクラスに借りに行くかぁ。」



 残り時間は三分となり少し焦るシランは隣のクラスへ急ぎ足でやって来たのだが、隣のクラスはまだ朝礼が終わっていない。



「あぁ、そうだ、シラン。全然学校に来ないから知らなかっただろうけど、大学から実習生が今日から隣のクラスに来たんだよ。男の先生なんだけどかっこいいんだよー!」



 と、見かけたクラスの女子はそう言ってくれたのだが、まぁシランは興味があるわけもなく、時は刻々と経ち、残り一分!さすがにやばい、もう諦めて戻るかなと足を逆方向へ向けようとした時、



 ガタガタガタッとようやく終わる模様。先生の話が落ち着いたのか礼が聞こえて来る。ガタガタと忙しそうに人や物の音が聞こえ始め、シランは朝礼が済んだと思いドアを思い切り開けると目の前には実習生らしき若い人がいた。


 が勢いを殺し切れず、そのままお互い正面衝突!



 

「いっててててて、、、。」




 強く打ったのか腰をさすり痛がるシラン。実習生らしき男の人はあまりダメージを受けず服についたゴミを払い、颯爽と立ち上がる。




「ごめんね!大丈夫??あ、、確かシラン君だよね?」



「すいません、あの自分のこと知ってるっぽいんですけど誰ですか、、、ってはぁ!?」




 名前を知っていたようで誰かかと思い見上げてみると、目の前にはあの、あの爽やかなセールスマンがこちらに向かって手を差し伸べていた。



「え、、この前うちにいた人、、これはどうゆう事?」



「自己紹介してませんでしたね、改めまして僕の名前はクラウスといいます。

 僕の名前は色々事情があって、君が卒業するまでの間ここでお世話になります。」




 キーン。コーーン。カーーン。コーーーン。




 残り時間零分




 一時限目の開始を告げるチャイムは校内に鳴り響く。



 そんな頃、廊下でちょこんと座るシラン。脳内は真っ白となり、動かなくなっていた。いや、動けなくなっていた。腰を抜かしたというべきか、まだヒリヒリと痛む腰のせいなのか力は全く入らず、ただ呆然としていた。





 そんな中、あのクラウスという男の手はいまだこちらに向かって差し伸べられている。


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追伸_僕は天職を見つけました。 @Re_2000

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