第3話「一人っ子の俺と二人目の妹候補!?」

「あ~クソっ!」


 サヤカのつくってくれた昼食を食べ終わった、俺は、リビングで流行りのパズルゲームで遊んでいた。


「なんで勝てないんだよ・・・・・・」

「にいに~」


 難易度が高いステージに挑み敗北した俺に茶髪ツインテールの「THE妹キャラ」の彼女が話し掛けてきた。


「何か用?」

「にいにと一緒に遊びたいな~って思って」


 少し冷たい反応をする俺に構わず彼女は続ける。


「そうだ!そのゲームで勝負しようよ!」


 彼女は俺のスマホを指さす。


「いいけど、どうやって?」

「んーとね、一人二回ずつパズルして、コンボの合計の数で勝負しよ~」


 まあ、暇潰しにはなりそうなので了承する。


「ところでさ、キミの事は何て呼べばいいのかな?」


 本日二回目の質問を彼女にもする。


「モモちゃんって呼んで~!」

「わかった。モモだな」

「ちゃんだってば~」


 もともと、ちゃん付けで人の名前を呼ぶことが嫌いな俺は、結局彼女の下の名前で呼ぶことにした。


「よし、じゃあまず俺からだな」


 指でパズルを解いていく。

 平均的な五コンボだ。


「次はモモね~みててよ!」


自信たっぷりなモモだったが結果は三コンボ。


「えーこれ壊れてるんじゃないの?」


 スマホのせいにするモモの話はスルーして二回目のパズルを始める。


「よしっ六コンボだ」


 この時点で俺は合計十一コンボ。

 モモが勝つためには九コンボ以上しなければならない。


「今度こそモモの本気だよ~」


 画面上で五コンボ、勝ちを確信したが予想もしていなかったことが起こる。

 5、6、7・・・・・・

 降ってくるパズルが揃い、どんどんコンボが決まっていく。


「11コンボー!にいに、モモの勝ちだよ!ね、ね!」

「そんな・・・・・・馬鹿な・・・・・・」


 その脅威的なコンボ数に負けを認めるしかなかった。 


「にいに~お願いきいてよね~」

「何をしたらいいんだよ?」

「にいには、なにもしちゃだめ!それがモモのお願いだよ」


 よく意味が分からず戸惑っていた俺の背中にモモは抱きついてくる。


「にいに~」


 その見た目とは反対に背中には、しっかりと女の子の感触が・・・・・・

 だんだんと手はお腹へとおりていき、モモは頭を俺の膝にのせてくる。


「にいに~あったかくて気持ちいよ~」


 膝で頭をすりすりと擦り付けてくる。


「いいかげんにしろよ!」


 俺は理性を保つことができず、つい怒鳴ってしまった。


「えっ・・・・・・ごめんなさい・・・・・・」


 数秒間の沈黙の後、モモは泣き出してしまった。


 自分の理性を保つために女の子を怒鳴って泣かせてしまった。

 なんて最低なことをしてしまったんだ。


「モモ、違うんだ。モモが可愛すぎて我慢できそうになかったから・・・・・・」


 口から日が出そうになるほどの恥ずかしい台詞で必死に弁解をする。


「我慢ってどういうこと?」

「それは、その・・・・・・」

「ちゃんと言って!」

「モモを女の子として見そうになったってことだよ・・・・・・」


 モモは少し顔を上げた後、すぐにまた、顔を下へと向けた。


「なら、にいに・・・・・・許してあげるから一つだけ言うことを聞いてくれる?」

「何だ?何でもするよ」

「モモちゃんってちゃんと呼んで」


 この時、俺に選択の余地はなかった。


「モモ・・・・・・ちゃん」

「はい!にいに!」


 さっきまでの姿が嘘だったかのように彼女は元気よく返事をした。

 やっぱり、彼女には、しょんぼりとした姿より元気な姿の方がよく似合う。


「また、遊んでくれる?にいに」

「もちろんだよ、モモちゃん」


 自然と彼女を、ちゃん付けして呼んでいた。

 俺は彼女の元気な姿をいつまでも見ていたいと、そう思った。

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