咲夜桜の日常
「バレてますよ、
「あらら、なんでバレるかな」
校門の裏側に髪の短い男が立っていた。
いたずら小僧のような楽しげな顔で桜に聞く。
それもそのはずだろう。桜の隣を歩いていた女子生徒が声をあげて驚くほどに気配がなかった。
「あたりまえでしょう。慣れましたよ」
「いや、慣れでどうにかなるものじゃないんだけど……」
呆れた表情で桜の隣を歩く柚希。
「そういえは結羽が兄さんにCD一万部突破して高笑いしてたの言ってましたよ」
「えぇ⁉誰もいないとこで笑ってたのに……流石ゆーちゃん、俺に気づかれずに盗み聞きするとは」
「運動神経いいですからね」
「うん、まぁ、そうだね……」
そういう問題じゃないんだよなーと柚希が呟く。
「まぁ、なんでもいいです。今日午前中で終わりますが遊びに来ますか?」
「どうすっかなー。みー兄ちゃんに高笑いしてたのバレてるしなー。ま、いっか」
「ちなみに悪い顔してましたよ」
「え、マジすか……。よっし、買収しよ」
「はいはい。来るって連絡しておきますね」
話してるうちに教室に到着する。
「そういや、クラス替えだけど確認しなくてよかったん?」
「どうせ貴方と同じクラスでしょう?それに」
「それに?」
「私のも確認してるでしょ?」
「そりゃもちろん」
大きいことから小さなことまでいろいろ調べる柚希は学校内でちょっとした有名人である。常に手帳を持ち歩き、(腰に手帳用のウエストバッグをつけている)学校内で起こったことはだいたいメモされている。
「そして何組かを言わないと言うことはいつもと同じということでしょう?」
「ま、変わってたら初めて変わったなって言うしなー」
「今年も一年、よろしくお願いしますね柚希」
「こちらこそだな」
二人は笑いながら新しい教室に入る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます