【BL】季節の最後に

 窓の外からは、ぱらぱら、と大粒のビーズを叩きつけるような雨音が響く。

「……ゲリラ豪雨?」

 寝起きの顔をしかめながら思わずそう呟けば、おなじようにくたびれたパジャマ姿の恋人から告げられるのはこんな一言だ。

「違うみたい」

 うれしそうに瞼を細めながら、忍は答える。

「テレビでね、さっき言ってたよ。秋雨前線だってさ」

「……もう九月だもんな」

 九月になれば自動的に夏が終わる――だなんて都合よくはいかなくとも、一足ごとに秋の気配はこうして近づきつつあるらしい。

「台風また来るってさ、大変だよね」

「にしてはうれしそうだな」

 答えながら、ふわりと寝癖の頭をなぞる。


 こんな風に何気ない顔をして、ふたりで過ごす季節はまた巡る。



第46回 #Twitter300字ss お題「秋」

「ほどけない体温」(https://kakuyomu.jp/works/1177354054884162195)周と忍

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