【BL】スィートホーム

「またいつでも帰ってきてね。なんなら周くんひとりで来てくれてもいいからね?」

 恋人のお母さんからの提案を前に、傍に立つ『実の息子』が返すのはこんなセリフだ

佳乃よしのちゃんさぁ、周のことひいきしてない?」

「そんなわけないわよ、どっちも大事な息子に決まってるでしょ。産んだか産んでないかなんて大した差じゃないわ」

 きっぱりと告げられる言葉には、迷いなどかけらもない。

「……ありがとうございます」

「いいのよ」

 遠慮なく伸ばされた掌を伝う温もりに、遠い記憶を思い起こす。


「ふたりとも仲良くしてね。また今度はお正月に帰って来てね、約束よ」

「……はい」

 いくつもの温かな思い出だけを残して、『初めての帰省』がこうして終わる。



第45回 #Twitter300字ss お題「帰る」


「ほどけない体温」(https://kakuyomu.jp/works/1177354054884162195)周と忍(と、佳乃ちゃん)

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