暑中お見舞い申し上げます


「便利なんだよいまって。スマホで作ってそのまますぐコンビニで出せるの」

 手元に届けられたはがきには、水着にTシャツを羽織り、快晴の海を背景に満面の笑みを浮かべた恋人の姿が小さな画面いっぱいにイキイキと映し出される。

「それはいいけど課題は? あと、来週登校日だからな」

「現実の話はやめようよ〜」

「あいにくそれが仕事なんで」

 やれやれ、と大げさにため息をつきながら、スピーカー越しのざらついた声と、粒子の荒れた暑中見舞いハガキの中の姿を見比べる。

 なんかないわけ他に?  仮にも休みになる前には毎日会えてたのに。

 夏休みなんて早く終わってしまえ、なんて言えるわけないのだけれど。


 校内恋愛ってやつは、中々どうして難しい。



第三十五回 #Twitter300字SS お題:休

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