目と耳そして、エコー(BL)
色に音が見える、と言う人がいるのだと彼はいう。
「高いドの音は黄色、ファの音は水色、レは薄紫」
しなやかな指先は、踊るような手つきで音色をなぞる。
「僕にとっていちばん身近なものといちばん遠いものが結びつくだなんて、不思議だよね」
目を伏せて囁く彼の瞳は、生まれてこのかた光を宿したことがない。
「ねえ、君には何色が見える?」
答えられず、僕は黙り込む。僕には音は音でしかない。形も色も匂いもない、ただやわらかく響き、満ちていくものだ。
「何も見えないよ。でも、感じることなら出来る気がする」
いくつもの波紋を落とすこの色につける名前を、僕はまだ知らないだけだから。
「だから、君が秘めようとした色があるのなら教えて」
第三十二回 #Twitter300字SS お題:色
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