君には言えない(BL)

「鏡を見るたびに祈吏と同じ顔が映ってるだなんて、いろんな意味で耐えられない」

 画面の中でまばゆいばかりの笑顔を振りまく、ほんの僅かにだけ面影を残した双子の姉の姿を一瞥しながら告げられた言葉がそれだ。

「もしそうだったとしても、僕はきっと君が好きだったよ」

 頬の上を滑り落ちる髪をなぞりながら、僕は答える。

「世界中の鏡を叩き割って回ったって構わないくらいには」

 こちらをじっと見つめ返すまなざしが、まざまざと震わされる。


(世界一大切な相手と同じ顔の女の子がいて、それが彼の一番の想い人だなんて、僕だって想像しただけで耐えられないよ)


 伝えられるはずもない言葉は、ゆらりと波打ちながら胸の奥に沈んでいくばかりで。



第三回Text-Revolutions 300字SSポストカードラリー お題:鏡

「ジェミニとほうき星」(https://kakuyomu.jp/works/1177354054880500070)海吏とマーティン

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