あたらしい季節(BL)
へっくし!
身震いと共に、大きなくしゃみがひとつ、漏らされる、
「どした、風邪?」
「ちがくて」
ティッシュの箱を引き寄せながら忍は答える。
「もうそんな季節なんだなーって。なんかさ、こんなとこで気づくのもやだよね」
かすかに潤んだ瞳でこちらをじっと見つめながら告げられる答えはこうだ。
「花粉症、毎年ひどくて」
「ああ……」
お気の毒さまというか、なんというのか。
答えに窮するこちらを前に、いつものようにニコニコと笑いながら忍は答える。
「そっか、周は初めてだもんね。毎年こうだからね、覚えててね」
ふたりで迎える初めての春の訪れは、どうやらこの盛大なくしゃみと共に幕をあけるらしい。
第二十五回 #Twitter300字SS お題:訪れ
「ほどけない体温」(https://kakuyomu.jp/works/1177354054880429454)周と忍
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます