おしゃべり、おしゃべり(BL)

「ねえ、なんでもいいから眠くなるまでなにか喋っててよ」

「……そんなこと急に言われたって。聖書でも読み上げればいい?」

「それでもいいよ」

 困ったように笑うその顔も、微かに漏れるぬるい吐息も。こうして隣にいるからこそ得られる、何物にも代え難い宝物だ。

「君の声、聞いてると安心するから」

 囁くように答えれば、吐息を吹きかけた耳が微かに赤く染まる。

「僕はどきどきするんだけど」

 そっと震わせた声を紡ぐ吐息の熱さまでをこんなにも近くで感じられるのが、うれしくてたまらない。

「じゃあ僕のこともどきどきさせて?」

 いたずらめいた響きで答えながら、その先に続く、やさしい声が紡ぐ言葉を僕はうっとりと待ち侘びる。



第二十四回 #Twitter300字SS  お題:声

「ジェミニとほうき星」(https://kakuyomu.jp/works/1177354054880500070)海吏とマーティン

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