指さえも(男女/恋愛)
「……どうされましたか?」
「いや、その」
視線に気づいた彼は、不思議そうにそっと尋ねる。その手元には、たっぷりと雫を滴らせたミネラルウォーターのペットボトル。
喉を鳴らしながらボトルに直接口をつけて水を飲むその時――
上下する喉仏、僅かに滴り伝い落ちる雫、指先でそれを拭う仕草。
見慣れているはずのそんな姿を前に、幾度も胸を高鳴らせてしまうことから抜けきれないだなんて、そんなこと。
「英彰さんは」
ぐっと息を飲み、私は続ける。
「……仕草が、お綺麗だなと」
微かに赤らめた顔を伏せたまま取り繕うように吐き出す言葉を前に、恋人は満更でもなさそうな様子で、少し濡れた唇を緩ませて笑う。
第二十三回 #Twitter300字SS お題:「のむ」
「真夜中のころ」(https://kakuyomu.jp/works/1177354054880428276)から、遠峯と栞
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