机上万年筆

 机の上に万年筆を放り投げておいてもクリップのおかげで転がるようなことはない。それでもせっかく美しい万年筆を置いておくのだから、放り投げておくより筆置きを用意してやると良い。友人のY君に聞くと箸置きで代用しているという。写真を見ると漆の箸置きに万年筆は確かに相性が良いらしい。自作してみるのもDIYの楽しさがあるだろう。ボールペンや他の筆記具と同じようにペン立てに放り込んでおいても実用の美があると思うし、ペントレイというハイカラな手もある。選り取り見取りを楽しめば良い。

 そういえば、高価なペントレイや一本用の筆置きなどに置かれた万年筆の写真をネットでよく見るが、自作して低下価格万年筆を可愛く机に置いている写真は見たことがない。カクノやサファリを所持する若い人が増えたのだから、そういうある種の芸術活動も盛んになればよいのにと感じる。もし既にやっている人か、ならばやってみようという人があったらぜひ教えてほしい。

 また万年筆を手に入れたものの実用に結びつかないという人。この時に考え方は二通りあるだろう。自分のスタイルに合わないから使わないという場合、まだ習慣化してないだけだから使用は継続したいという場合。前者には打つ手立てがないのだが、後者にはある。というのも机上に万年筆を置いておく、という手段なのである。隣にメモ帳を添えてやるとより良いだろう。こうすると存外メモを取る機会が増え、必定万年筆を使う機会も増える。この場合ねじ切りのついた、キャップを回して開けるタイプよりもぱちんとすぐ外せる篏合かんごう式のほうが良い。篏合式は低価格帯の万年筆に多いタイプであるため、入手は容易であるし既に手にしているかもしれない。メモなどは速効性が重要な性質をもつものであるため、机上では書き出しの早い篏合式が大活躍である。

 余談になるが、偉人にはメモ魔が多いという。調べてみると万物の天才レオナルド・ダ・ヴィンチや物理学者アインスタイン、歌曲の王シューベルトなどそうそうたる顔ぶれである。これを機に天才たちの習慣を取り入れてみのは実に面白い試みであるだろう。

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