第三章②

 俺たちの目の前に居る男の名前は、川上 憲伸(かわかみ けんしん)。二十二歳。誕生日は、六月二十二日。

 高校二年生の一学期に中退し、そのまま引きこもりになったニートで、今回の送迎対象だ。憲伸の両親が税金を払い、俺たち第八特別国家公務員周知・送迎部隊に出動要請が下ったのだ。

 しかし俺、螢樹、アンリの三人は憲伸の部屋にたどり着き、送迎対象を目の前にしながら、手を出せないでいた。

 何も憲伸が元ラグビー部に所属しており、その強靭な体で本気で抵抗されている、というわけではない。憲伸の身長は高い方だが体は枯れ木のように細く、痩せている。

 捕まるくらいなら自殺をすると、憲伸がナイフを自分の首に押し付けている、というわけでもない。憲伸は両手を広げ、窪んだ両目で俺たちを睥睨している。

「いやぁ~、ちょっと遅かったみたいだねぇ~」

 憲伸の芝居がかった話し方が、鼻につく。

 俺の苛立ちを察したのか、ナメクジのように粘ついた憲伸の唇が、いやらしく釣り上がった。

「これで、あなたたちは僕を狩ることは出来ませんっ!」

『国民年金保険料を納めた者は、国民年金保険料を納める対象である第一号被保険者に対して特別国家自衛官の任に就けさせる選択権が与えられる』

 特別国家公務員法にあるとおり、年金を納めた者に、その年金を納めた相手を特別国家自衛官にする権利が与えられる。

 俺たちはこの法律に基づき、憲伸の両親が憲伸の年金を支払い、そして特別国家公務員法の権利を行使したので、憲伸を狩るためにここにいる。

 だが、俺たちは憲伸の言葉通り、憲伸を狩ることができない。

 何故なら、

「僕を特別国家自衛官にする権利を持っているのは、僕自身だからだっ!」

 憲伸の言った通りだった。

 憲伸の両親が憲伸の年金を払っているにもかかわらず、憲伸の両親は今憲伸を特別国家自衛官にする権利を持っていない。

 憲伸に、その権利を奪われたのだ。

 特別国家自衛官にする権利について、特別国家公務員法にはこう続く文章があるのだ。

『ただし、選択権は国民年金保険料をより多く納めた者に与えられるものとする』

 そう。憲伸は、自分の両親が自分の年金を納めた額よりも多く、年金を納めたのだ。

 国民年金保険料を納める最小単位は、『年』ではなく『月』になる。

 つまり、ニートを持つ親が自分の子供を特別国家自衛官にするためにかかる必要最低限の出費は、国民年金保険料一カ月分で済む。わざわざ自分の家から放り出す自分の子供(ニート)の年金を、全て払う必要はないのだ。

 そもそも親が払う年金は、本来ニートが自分で働いて支払うべきものなのだ。

 だったらニートに支払う金は、出費は、最低限にしようと考えるのが普通だ。

 俺たちが今まで狩ってきたニートの親も、そうだった。憲伸の両親も、例外ではない。

 だから俺たちは、憲伸の年金が一カ月分支払われたので、ここまで出動してきたのだ。

 そして憲伸の部屋に俺たちが突入した瞬間に憲伸は、ある行動に出た。


 俺たちを嘲笑うかのように、憲伸は自分の一年間分の年金をネットから振り込んだのだ。


 ここで、憲伸の年齢を思い出してもらいたい。

 彼の年齢は、二十二歳。

 一ヶ月年金を支払ったとしても、残り一年と十一ヶ月分未払いの年金が存在する。

 その内一年分を、憲伸は支払った。つまり、憲伸の年金を一番多く払っているのは、ニートである憲伸ということになる。

 非暴力的に。

 合法的に。

 金の力で。

 憲伸は両親から、自分が特別国家自衛官になる権利を、買い戻したのだ。

 これが、特別国家公務員法の攻略法だ。

 極めて単純だが、年金が、金が支払われた以上、これは合法なのだ。

 この攻略法が見つかってから、政府はニートが年金を支払う口座を凍結するように呼びかけた。だがこの勝負は、ニートたちに軍配が上がった。

 普段ネットを使わない両親たちに気付かれる前に、ニートたちは自分の年金を払うように呼びかけた。ネットから年金を振り込む方法はSNSやブログなどで一瞬にして広まり、貯金のあるニートは瞬時に自分の年金を振込み、権利を買い取った。貯金がないニートも、口座が止められる前に親の金を使い、自分の名義で、自分の年金を振り込んだ。

 ニートの両親が気がついた時には、既にニートは自分の権利を買い占めていた。

 現在ニートのいる家庭に口座の管理に注意を促しているが、それはある程度まとまった金額が自分の口座にあるニートには、俺たちが手出しできないことを意味していた。

 こうした、ある意味ニートの反乱に、国は口座に関する呼びかけ以外、何もしなかった。

 いや、出来なかったのだ。

 ニートが優勢と見た特別国家公務員法に反対していた人々、特に景気が上向き与党の支持率が上がったことに危機感を募らせていた野党が、与党に猛反発したのだ。

 曰く、やはり与党が打ち出した特別国家公務員法には問題点がある。そもそも、年金を多く支払った方に特別国家自衛官にする権利を与えるというが、これがもし同額の金額を納めた者が複数いた場合のことが記載されていない、と。

 確かに、ニートとその両親。同額の年金を納めたものがいた場合、どちらに権利が与えられるのかこの法律に記載されていない。本来ならすぐに改正すべきなのだが、ようやく与党が作った隙なのだ。野党がみすみすそれを逃すはずもなかった。

 野党は、特別国家公務員法をニートを優遇するための逆差別法案だと妬む人たちを煽った。その結果、国会議事堂前でデモ活動が行われる事態にまで発展した。

 こうした野党の動きに、与党の動きは鈍かった。特別国家公務員法に対する不満は予想よりも大きかったようで、デモにまで発展するとは考えていなかったのだ。もしここで下手な対応を取れば、支持率が低下する可能性がある。与党はこの状況を逆転する切り札を持ってはいたが、慎重な姿勢を崩さなかった。

 それに、これはある意味朗報でもあった。ひとまず、年金はニートから回収できるのだ。

 少子化対策の法案だったが、まずは野党やデモ隊の対応に力を注ぎ、大人しく年金を納めてくれている間は放って置くことにしたのだ。不満を持っている国民の、ガス抜きにも丁度いいと考えている余裕すら、与党にはあった。

 こうして貯金があり、年金が払えるニートたちは俺たちに狩られる危険性はほとんどなくなった。

 では貯金がなく、親の口座が使えなくなったニートは俺たちに今まで通り狩られていたのかというと、そうではない。

 憲伸のように高校を中退し、働いたこともなく、貯金もないはずのニートたちが今回のように年金を支払うケースが多発しているのだ。

 口座の注意喚起は既に日本中に広められているため、ニートは自分の親の金で年金を支払えるようなことはなくなった。憲伸が使える口座も、憲伸の両親が凍結させてある。

 しかし、憲伸は年金を支払った。

 憲伸は俺たちを出し抜いたのがそんなに嬉しいのか、調子に乗ってべらべらと喋り始める。

「僕には、『神』がついているんだ! お前らなんかに、狩られるわけがないだろうがっ!」

『神』。ネット上では、何気によく使われる単語だ。

 もちろん宗教的な意味での神ではない。何か凄いことをした人、面白いことをした人のことをネットでは『神』と呼んで囃し立てる。ネットには八百万以上もの『神』が存在しているのだ。

 そしてニート狩りが行われた日本で、新たな『神』が生まれた。

 年金を支払う能力がないニートを救うため、代わりに年金を支払ってくれる『神』が。

「『神』がいれば、僕はニートを続けられる! 『神』が存在し続ける限り、僕たちニートは不滅だっ!」

 ニートが働かざる終えなくなった日本で、新たに現れた『神』。

『神』はニートたちにとってまさしく救いの神であり、崇め奉るべき存在であり、救世主だった。ネット上でニートたちは、自分の年金を払ってくれる(救ってくれる)『神』を求め、今日も叫び続けている。

「分かったら、お前らとっとと僕の部屋から出て行けよ! 薄汚いニート狩り部隊が! こんな人間狩り、まともな神経をしていたら出来ないだろうっ! 弱者をいたぶるしかない、無能どもがっ!」

 唾を撒き散らしながら叫ぶ憲伸を見て、俺は何故だか、自分一人じゃ動くことの出来ない操り人形を連想していた。

 確かに憲伸の言うとおり、俺はまともな神経をしていないのかもしれない。

 だが憲伸の話した言葉が、俺の心にまったく響かない。憲伸の言葉に、既視感があるからだ。

 憲伸だけでなく、今まで狩ってきたニートたちが俺たちに放つ罵倒は、ネットを探ればすぐにでも見つけられるようなものばかりなのだ。

 彼らの言葉の中には、彼らがいない。

 自分たちの都合のいいものを寄せ集め、自分たちにとって気持ちいいものだけで周りを固めているからだ。

 それが、自分が傷付かないための最善の方法だとでも言うかのように。

 そうしないと、弱い自分たちは生きていけないのだと、信じているかのように。

 だから、憲伸は気づいていないのだ。そのネットから寄せ集めた言葉が、誰かを傷つけるかもしれないということに。

 憲伸からすれば、先に自分を傷つけたのは、他のやつらだと思っているのかも知れないが。

「仕方がない。螢樹、アンリ。一旦引き上げるぞ」

 俺は肩をすくめ、二人に一度護送車へと引き上げるように伝える。踵を返して憲伸の部屋を、俺たちは後にしようとした。

 不動に護送車をまわしてもらおうと、俺がインカムに話しかけようとしたところで、憲伸がまた声を張り上げた。

「おい! 聞こえているんだろ? ジジイ! ババア! お前らが僕を追い出そうとしたって、僕に『神』がついている限り、何をしたって無駄だっ! お前らは僕を生んだ責任を取って、一生面倒を見ていればいいんだよぉお! 覚えておけ! クソどもがっ!」

 憲伸は、部屋の外で縮こまっている自分の両親をこき下ろした。狩られる立場から一転して、身の安全が保障されたと思った憲伸は気が大きくなっているのだろう。拳銃を持った俺たちが部屋に入ってきた時、恐怖に震え、歯をカチカチと鳴らしていた無様な姿はどこにもない。

 だから憲伸は、もう一度自分がそんな姿になるとは考えもしなかったはずだ。

「ヒッ!」

 憲伸の口から、みっともない悲鳴が漏れる。その悲鳴の元凶は、一発の銃声。

 その音のあまりの大きさに、憲伸は腰を抜かしたように座り込んだ。

「アンリ! 何をやっているんだっ!」

 アンリの手に握られている小銃の銃口が、微かに煙を立てている。

 そのアンリの手を、俺は銃声が鳴る前に掴んでいた。

 憲伸の言葉を聴いた瞬間、俺はアンリがこうすると確信していたのだ。俺の手が銃口をずらし、アンリの拳銃の射線から憲伸を外していた。

「安心してください、ムヘン。これは威嚇用の空砲デス」

 アンリの言葉に、俺は衝撃を受けた。確かに、憲伸の部屋の中で何か物が壊れた様子はない。

「……は、はは、何だ。空砲か。脅かすなよ」

 空砲と聞いて、憲伸が威勢を取り戻す。空砲なら実害はない。そう思っているのだろう。

 だが一瞬安心した表情を浮かべた憲伸を、別の衝撃が襲った。

 それは、音だった。銃声とは比べ物にならないほど小さい、肉と骨がぶつかり合う生々しい音だ。

 俺がアンリの顔面に、右ストレートを叩き込んだ音が、憲伸の部屋に響き渡る。続いて、アンリが派手に壁にぶつかる音が聞こえた。

 アンリが壁にぶつかったため、部屋にかけられていた時計が落ちてくる。それを、憲伸と同じく俺たちを呆けた顔で見ていた螢樹が慌てて受け止めた。

 螢樹もニート狩りを始めて三ヶ月。問題児ばかりの俺の部隊に、大分慣れてきたようだ。最近フリーズしている時間が短くなってきている。

 一方憲伸はまだ何が起こっているのか理解しきれない、といった表情だ。

 普段聞かない銃声よりも、身近に起こりえる『殴る』という暴力の方が衝撃的だったようだ。部屋にこもりすぎていて、自分にも起こりえるかもしれない、という危険性を忘れていたのだろう。

「ムヘン、何を?」

「何を? 何を、だと? お前、自分が何をしたのか分かっているのかっ!」

 しかし、今の俺には憲伸のことを気にかけている余裕などない。今は、部下の大失態を叱るのが先だ。

「空砲は確かに、弾頭を持っていない。だが、それだけだ。銃口からは高速で高熱の燃焼ガスが生じる。もし銃口に異物が付着していれば、その異物が高速でガスに押し出されて怪我をする場合だってある。死ぬほど訓練所で習っただろうがっ! このバカタレがっ!」

 俺の怒号に、アンリは俯いた。

 憲伸も自分に起こりえた『もし』の可能性を理解し、青ざめている。

「螢樹。アンリを連れてこい。俺は親御さんに話をつけてくる。薬莢も拾ってこい」

「は、はいっ!」

 螢樹の返事を聞きながら、俺は三人を残して部屋を後にした。

 リビングに着くと、憲伸のご両親が落ち着きなく俺に質問をぶつけてきた。

 家の中で銃声がしたのだ。慌てるのも当然か。

「い、今銃声がっ!」

「どうなってるんですか? 憲伸はどうなってるんですかっ!」

「大丈夫です。落ち着いてください」

 俺は両親をなだめ、今回の任務の失敗を伝えた。

 憲伸が何者かから年金の援助を受けており、法に則って『送迎』が出来ないこと。

 その支援者が憲伸の態度を助長させ、暴力的な行為に及びそうだったため、少し手荒な警告をしたことを伝えた。

「警告が効いているようなので大丈夫だと思いますが、もし万が一、暴力に訴えるようなことがあれば、すぐに我々にご連絡ください」

「わ、わかりました」

 話を終えて、俺は川上家を後にする。

 家の外には螢樹と、螢樹に肩を借りて、左頬を貼らしたアンリが待っていた。

「少しは、頭が冷えたか?」

「……ハイ。スミマセン」

 螢樹、不動。俺の部下二人には、それぞれ大嫌いなものがある。

 そしてアンリにも、嫌いなものが二つあった。

 一つ目の嫌いなものは、自分の子供を見捨てるような両親。子供をニート狩りに差し出すような親はその典型で、だから先月井上一樹を食い物にしている一樹の母親、和枝に対してアンリがぶちキレないか、俺は心配していたのだ。

 だがそうするとアンリはニート狩りの度、ニートの親にキレるような事態になってしまう。しかし、実際にはそんなことにはなっていない。

 それはニートの両親に、自分の子供のために子供を突き放す、という建前があるからだ。

 実際にはただのお荷物で、邪魔だと心の中で思っているのかもしれないが、流石にそれを俺たちの前で曝したりはしない。

 だが、今回アンリは、キレた。

 それはアンリの二つ目に嫌いなものが、親にいつまでも甘えられると思っている子供だからだ。

 いつものニート狩りでは、アンリの嫌いな親に甘えた子供(ニート)を狩ることでその怒りを押さえ込んでいるのだが、今回はそれが出来ない。

 だから、アンリはキレたのだ。

 そして俺はこのアンリの性質を知っていながら、アンリにはまったく向いていない特別国家公務員周知・送迎部隊の任務に就かせている。

 去年の周知活動だけであれば問題なかったが、やはりアンリにはこの任務はこの先辛いのかもしれない。

「螢樹のオタク嫌いもそうだが、アンリの子供(ニート)嫌いは、そもそもこの仕事に向いていない。それを抑えられないようだったら、」

「嫌デス! 続けマス!」

 除隊を促そうとした俺の言葉を、アンリが遮った。

「この場所にいられナイのなら、ムヘンの傍にいられナイのなら、ワタシは……」

「そ、そうですよ隊長! 私だって、この前隊長に頼まれた同人誌、ちゃんと買ってこれたじゃないですかっ!」

 歯を食いしばり、苦痛の表情を浮かべるアンリを守るように、螢樹が俺とアンリの間に割り込んでくる。

「私だって、この任務に向いているとは言えません。でも、少しでも前進しているんです。だから、アンリさんだって、きっと大丈夫です!」

 力強く頷く螢樹を、アンリは眩しそうに見上げてた。

「……ケイジュ」

「それに、私たち『仲間』じゃないですか! 隊長が私たちを信じてくれないで、一体どうするって言うんですかっ!」

『あたいも、そー思うよー』

 インカムから、不動も会話に参戦してくる。

『問題だらけだったあたいとあんりを、大丈夫だって言ってここまで引っ張ってきたのは、たいちょーじゃん。だからあたいたちのこと、ちゃーんと最後まで責任もって引っ張ってよー』

「わ、私も! 私のことも引っ張ってくださいよっ!」

「……そうだな」

 俺の部隊が問題児だらけなのは、こんな問題児どもを集めてしまう、俺自身に問題があるからだ。螢樹の言った通り、俺の問題でこいつらを巻き込んだこいつらを、俺の『仲間』を信じないでどうするというのだ。

「まだ痛むか、アンリ?」

 俺は右手でアンリの左頬を、優しくなでた。アンリの濡れた唇から、微かなあえぎ声が零れ落ちる。

「平気、デス」

 平気なわけがない。殴った俺が一番わかっている。まだアンリの腫れは引いていない。

 それでもアンリは、その腫れを作った原因の俺の手のひらに、自分の左頬を擦り付け、猫のように目を細めた。

 そんな彼女を、俺は言葉で突き放す。

「謝らないぞ。お前が俺の部隊にいるために必要なことだからな」

「謝らないでくだサイ。ワタシがムヘンの傍にいるために必要なことなのデスから」

 それでも、アンリは俺についてくる。

 だったらこいつは、もう大丈夫だ。

 だから俺は、こいつが、こいつらが、こいつらと『仲間』でいられるために動こう。

 それは俺の部隊を、第八特別国家公務員法周知・送迎隊を維持するための行動だ。

 俺たちの部隊を維持するためには、結果を出さなくてはならない。

「不動。螢樹とアンリを回収して、アンリの手当てをしてやってくれ」

『たいちょーは?』

「これから単独行動を取る」

 俺の言葉を聞いたアンリと螢樹が、信じられないと言った顔で俺を見つめていた。

「ちょ、ちょっと待ってくだサイ、ムヘン!」

「そうですよ! さっきいい感じに、こう、仲間の絆を確かめ合ったばっかりじゃないですかっ!」

 まぁ、確かに螢樹とアンリの言う通りだ。今の流れで俺だけ単独行動っていうのは、流石にないだろう。

 しかし、これは必要なことなのだ。

 問題児が集まっていても、『仲間』でいてもいいような結果を出すために。

 それに、アレが公表されるまで時間もない。

「もしかしたら、憲伸の親御さんから連絡が入るかもしれない。だからお前たちはここに残れ。それに、どうせアイツは俺一人じゃないと会えない」

「ま、まさか隊長……!」

 螢樹は俺の行き先に、見当が付いたのだろう。そしてそれは、螢樹が考えている通りだ。

 だから俺は、その答えを仲間に告げた。

「会ってくるよ。『神』に」


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