第11話 カオス
恐田と書かれた名札を付けた中年女性の店員は激しい形相でこちらを睨み付けている。恐田と同姓のこの店員……恐田怖一と何か関わりがあるのだろうか? いや、それだと話が出来すぎている。単なる偶然で実際は赤の他人という方が自然だろう。
というかそうであってくれ、頼む! と僕は運命の女神に懇願した。と同時に店員が何か言い出してきた。
「ちょっとお客様ぁ! 何でお客様の荷物から主人のトイレ後のあの臭いがするんですかぁ!?」
(恐田の嫁だったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! ちくしょぉぉぉぉぉぉ運命の女神ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!)
まさか願ってから数秒も経たない内に残酷な事実を突き付けられるとは思いも寄らなかった。運命の女神恐ろしっ!
それにしてもまさか家の近所のコンビニに恐田の嫁が働いてるとは……灯台もと暗しとはこのことか……。
というか恐田が結婚してたとは……。オソレダブリドリはまさかのツガイだったというわけだ。というか夫婦だと口調も似通ってくるものなのか・・・?
僕が色々と思いを巡らせている中、恐田の嫁は再度僕に話しかけてくる。
「答えてくださいお客様ぁ! 一体この荷物は何が入ってるんですかぁ!? 正直に言わないと応援を呼びますょぉレジ応援をぉ!? ややこしいことになっても良いんですかぁ!?」
もう既にややこしいことになっているが、彼女の言う通り人を呼ばれるのは避けたい……
真面目な僕は正直に自供することにした。
「ウンコぉ!? しかもウチの主人のぉ!?」
僕の供述を聞いた
「お前本気で言っているのかぁ!? 家でトラウマになるほど嗅がされているというのにこの仕打ちぃぃぃ……! 許さん! 絶対に許さんぞぉぉぉぉぉ!!」
激昂した
「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーっ! お客様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」
僕はTVの見様見真似でボクシングのスウェイをし、
(クッ、追撃ってヤツか・・・!)
そう思ったのも束の間、激昂した
「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーっ! お客様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」
僕は近くにあった買い物かごで首をガードし、
(頼む! もう諦めてくれ・・・!)
そう思ったのも束の間、激昂した
「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーっ! お客様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」
「いや死なないからっ‼」
「前の2撃はワンチャンイケる可能性は秘めてたかもしれないけど、汁は無理だろっ‼」
僕は必死になって
「熱すぎてワンチャンショック死もあるだろぉぉがぁぁぁぁーーーーーーっ‼」
「恐田さん何!? 今、熱すぎてワンチャンショック死がどうとか聞こえてきたけど、どういうこと!?」
店長らしき店員は困惑を隠しきれずにいた。そこへタバコを買いに店へやってきた客が
僕の心は疲れ果て追い詰められていた。そこへ客から出たひと言が遂にとどめとなった。
「なんかこの店ウンコ臭くね?」
僕は店を飛び出した。そして急いで帰路につき、自宅に到着すると一直線に自室に駆け込んだ。そしてベッドに潜り込む。
(終わった・・・)
これで計画は失敗し、もう
そして翌日、僕は当然のごとく学校を休んだ。
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