第9話 計画
(ちなみにウンコの神の下着はボクサーパンツらしいわよ)
……ボクサーパンツっていったらトランクスみたいな形状でブリーフみたいなピタッとした密着感の下着というアレか……?
生意気だ! あんなの……、一皮剥けた大人が履いてるやつじゃないか! いや神に対して生意気というのもおかしな話ではあるが、とにかく燕尾服を着てる奴は……いや実際に着てるかも分からないけど、口調だって丁寧な
僕のイメージでは人間というものは、おむつ→ブリーフ→トランクス→といった順で進化していき、そこから悟りを開いた一部の者だけがボクサーパンツに辿り着くものだと思っている。逆に真面目な人間は勇気が出せずに進化ができないもんだ。
だから真面目がボクサーパンツを履いてるなんて本来あってはならないことなのだ。この僕ですら残念ながらまだブリーフだというのに……。
(今の貴方のお尻の惨状は
(なあ
(……結論から言うと転移は可能よ。但し、今のままじゃ速攻で送り返されることになるのがオチね)
(駄目じゃないか‼ じゃあ何で提案したんだ!?)
(話は最後まで聞いて。私は文字通り送り付けてやれって言ったのよ)
(だから転移しろってことじゃないのか!?)
(違う違う。コンビニか何かから発送しろって言ってるの。)
(宅配サービスを利用しろってことか!?)
(ええ、そういうこと)
(宛先は!?)
(ウンコの神の神社宛よ。奉納って記載するといいわ。正確な住所はネットで検索すればすぐに分かるはずよ)
(そんなことしたら……一体どうなるか分かっているのか!?)
(神社の神主が貴方の家に殴り込んでくるでしょうね)
(だろうな!! 確かさっきこれが僕を救う方法とか言ってなかったか!? 追い込む方法の間違いだろ!)
(勿論、解決しないわ)
(ふざけてるのか! じゃあ何で……)
(これはまだ目的を達成する為の種蒔きみたいなもの。……要は神主さんを
(神主とコンタクトを取るならこんな危ない橋を渡る様なことしなくても直接会いに行けば良くないか?)
(これはね、神主さんと神社の敷地外で会うことがポイントなの。そして貴方の自宅で会うってことがね)
(神といっても万能じゃないのよ。それにいちいち個人の状況なんて見ちゃいないだろうし。神社の敷地内ならいざ知らず、敷地外でしかも個人の自宅内ともなると貴方達の言動なんて分かりはしないわ。神は個人のプライベート空間を著しく尊重するのよ)
(でもさっき神と心の中でやり取りしたぞ? 相手の心が読めるってことじゃないのか?)
(あれは電話みたいなものと思ってくれたらいいわ。電話でいう通話してるときだけよ。相手の心の内が読めるのはね)
……そういうことか。だからこんな突拍子もない行動を取らせようとしてるってことか。だが、一つ思うところがある。
他にやり方はないのか?
神主を誘き出すのなら、絶対他にも方法があるはずだ! 考えろ僕! 何か良い案を思い付くんだ!
(プランBを考えてる時間はないわ。もう休み時間も終わる頃よ。さっきのプランAで決まり。それよりこの後すぐに早退を学校側に申し出なさい。このままの流れだと
(ちょっと待ってくれ! ここで早退したらクラスの皆に僕で確定してしまう! それにまだ計画の全容を聞いていない! 全体を把握しないとこれが上手くいくのかどうかも判断出来ない!)
(言っとくけど7日間の猶予しかないのよ? 調べたけど貴方の時代は物流業界の人手不足が問題になってるそうね。のんびりしてる暇はあるのかしら?)
(それはそうだが流石に7日もあれば確実に届くだろ!こういう時こそ冷静に……)
(あのね。確かに物流業者さんは頑張って届けてくれると思うけど、受け取り側の問題もあるのよ。すれ違いもあるでしょうし、再配達日をいつにするかも未知数。それに置き配指定なんかされたら余計ややこしくなるわ。そしてこれは計画の内の極一部。まだまだやることが控えているの。それを考えたら早く動かないといけないのよ)
……こうなりゃヤケクソだ! もうどうにでもなれ! とまでは思わないが、とにかく僕は足早に教室を後にした。
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