第7話 想定外
「巻野ぉ、後でバキュームカーを手配してやるからグラウンドで待っとけぇ。それと親御さんにも替えのパンツを持ってきてくれるように連絡しといてやるぅ」
恐田はすれ違いざまに僕の肩を軽く二、三度叩くと、そう言い放ち教室を後にした。珍しく良い人を演じているが、こちらからしたら冗談じゃない。そんなことされたら完全に僕が
このままじゃ、アイツの
(なあ、
(……
……
(申し遅れました。
(ウンコの神、待ってくれ。その件については知っている。だが、ルールが厳しすぎやしないか? ルールの改定を申し入れたい)
(申し訳ございません。それは出来かねます)
(何故だ!? ウンコの神本人なら
(色々と諸事情がございまして……。どうかご理解いただきますよう、お願い申しあげます)
(駄目だ! そんなんじゃ納得が……)
(どうしてもご納得いただけないのならこのまま貴方様自身が、ウンコになられる呪いをかけさせていただきますが、いかがなさいますか?)
(そうか。ならいい。納得した。もう大丈夫だ。今のは忘れてくれ)
やはりルール変更は無理なようだ。だが、疑問点はまだ山ほどある。どうにかしてこの会話から光明を見出だすしかない。再び僕は切り出した。
(すいません、ウンコの神様。質問があるのですが大丈夫でしょうか?)
(はい。何なりとどうぞ)
(転移の対象についての質問なのですが、まず一度呪いにかかった人間には転移できないという認識で間違いないでしょうか?)
(ええ、その様な仕様にさせていただいております。大変、ご不便をお掛けしております)
(いえいえ! とんでもないです。僕、頑張って何とかするんでどうかお気になさらず)
……参ったな。やはり
(あの……ウンコの神様。もう一つ質問なのですが……)
(申し訳ございません。そろそろ時間がきてしまいました。用事がございますので続きはまたの機会に)
大変だ。話を引き延ばさないと……!
(あの!用事とは何でしょうか?)
(……便意です)
(……ああ、なるほど……。)
(それではこれにて失礼致します)
再び静寂が訪れ、ウンコの神との通信が途絶えたことを理解した。正直、まったくの収穫無しといっても過言ではない。強いていえば、ウンコの神もウンコするんだということが分かったのがせめてもの収穫か……。
そんな情報何の役に立つっていうんだ!
……つい感情的になってしまった。
だが、怒りを制御出来ない自分を擁護したくなるのも事実だ。それ程までにウンコの神とのやり取りは貴重なものだったからだ。
もっと知りたいことは山程あった。転移の仕組み……ルール……対象……数え上げればキリがない。
……対象……。そういえば転移の対象について詳しく聞かされてなかったな。誰かのお尻にしか転移できないってことしか把握出来ていない。
……
(おい、
……返事がない。アイツちょこちょこ連絡が取れなくなるからな。
一人で何とかするしかないかと腹を括ろうとしたとき、それを狙ったかのごときタイミングで
(聞こえてるわ)
僕は
(ところでだけど貴方を救う方法……思い付いたわ)
僕は生唾をゴクリと飲み込んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます