第1話
「ねぇ、ねぇ、おにぃちゃん」
「起きて。遅刻しちゃうよ?」
「ふふっ…しょうがないなぁ…」
耳元に心地よい甘く柔らかい声…
あぁ…俺、まだ夢見てんだな…
「お姫様のキスで王子様は目覚めるよね?」
うわぁ…学校行きたくねぇなー…
このまま夢のなかにいてぇ…
ちゅっ
なんだこれ…やわらけぇ…
「ん…ふっ…ぁ」
口のなかになにか入ってくる…
これ…舌?
舌…?舌ァァァァァァァァ!?
俺は光の速さで体を起こして、目の前の人物を見つめる。
が、光の速さで目を剃らした。
なぜなら…
「やぁっと起きた。ね、おねぼうさん?」
「ぉ、おま…っ、なんて格好してんだよ…っ!!!?」
その人物は透け透けの短いワンピースに扇情的な深紅の下着…しかも、紐パン。そて、ガーターとニーソというなんとも際どい格好をしていた。
「格好…?あぁ…このままじゃ妹に欲情しちゃうからってこと?」
目を細めていたずらっぽく笑うその人物は
そう、血の繋がった俺の妹。
三沢璃愛奈 中学三年生。
同世代の女子よりも色々なところの成長が乏しいくせに、何故だか年々中身だけが成長して、見た目にあわない色気が醸し出されている。
「ょ、欲情なんかしねぇし!!」
俺の童貞臭しまくりの反論にも
「…いーよ?欲情しても」
余裕そうに返してくる。
「だ、だから…っ」
「おにぃちゃんがしたいようにして、いいんだよ…?」
俺の耳元に囁きながら、ツゥーと背中をなぞってくる。
…本当何処でそんなん習ってきたんだ…
「ね、何がしたい?イケナイコト?キモチイイコト?」
「それ両方同じことじゃないですかね!?」
…耐えろ俺。耐えるんだ息子。
「璃愛奈はいつでも準備おっけーだよ?」
「準備ってなに!?」
そんな押し問答をしていると
「大変だよ光君ー!!……って、え?」
いきなり勢いよく部屋の扉が開かれた。
しかし、転がり込むように入ってきた侵入者は俺たちを見て固まってしまった。
「よ、よお…夏凛…」
「ぁ、おはようございます、夏凛さん」
「ぇ、ぁ、うん?二人ともおはよう?」
数十秒後、どうにか三上夏凛はフリーズ状態から戻った。
三上夏凛 高校二年生。家が隣で保育園の頃からずっと一緒のいわゆる幼馴染みってやつ。同世代の女子よりも一部だけ成長し過ぎているくせに中身は同世代の女子よりも成長が乏しい。っていうか、普通にバカである。
「兄弟って結婚できたっけ?」
「できない!!」
「できませんよ?でも、おにぃちゃんを渡す気はないですね」
「…璃愛奈、そろそろ兄離れをしようか」
「断固拒否です」
…俺の妹がこんなにブラコンの訳がない!!
「あぁぁぁ!!」
「どうした?」
「そう!!大変なんだよ!!」
「何がです?」
「姫ちゃんと一彰くんとこ別れたんだよ!!」
「はぁ!?」
「エイプリルフールはもう終わってるし、夏凛さんが嘘をつけるとも思えない…まさか、本当に…!?」
「璃愛奈ちゃん、私のこと嫌いなの…?」
「胸の大きい人は基本嫌いですね!!」
「ぅ、嘘だろ…!?あのバカップルが別れた…だとぅ!?」
「やばいよね!!大変だよね!!」
「はい…確かにやばいし大変ですね」
「だが…それよりも…」
「今日は赤飯だね、おにぃちゃん!!」
「ぇ、えぇ…なんでお赤飯…!?」
「分からないのか夏凛…この世のリア充が一つ減ったんだぞ!?祝わないわけないだろ!!リア充は敵!!滅びるべき対象なのだァァァァ!!」
「さっすがおにぃちゃん!!」
「へぇー…そういうものなんだぁ…」
夏凛は新たな知識をゲットした!!
同性愛社会になったけどそれでも俺は君が好き 戯凪 @rennka444
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