第10話 謀反
首筋を伸ばして座り、ゆっくりと呼吸をする。集中力が欠けているのか、魂を遊離させる「鳥飛び」に何度も失敗する。落ち着いて、落ち着いて、と自分をなだめ、
屋根を抜けて空へ昇り、柵に囲われた居住区を見下ろす。姫は両手を羽のように動かして滑空した。西へ向かい、街道に出てから北上しようと、
間もなくというところで、馬に乗った女が、少数の供を連れて眼下を通った。乗馬ができる上に、身なりも良いことから、身分の高い女性と思われる。気になった姫は旋回して、後をつけた。
女は、前王の宮付近にある
彼女は少し湿り気を帯びた土をかき集めて
「これは、大和の国のかわりの土。吾が良人、
ほくそ笑む女の唇に、はっきりとした意志が見て取れる。国家統一後、初めて宮が建った
魂の状態の
一刻も早く
ようやく三輪まで辿りつき、ほとんど墜落するかたちで棟へと向かう。屋根をすり抜け、自らの頭が見えてくる。意識がかすむ。
なけなしの力を振り絞って、
言うことをきかない足を奮い立たせ、
戸を開ける音に、
「やはり、謀反です。首謀者は、
「
「四将軍が出払い、兵が手薄になる時を待っていたのだな。……敵はもう準備を整えているはずだ。すぐに、大彦伯父の全軍を
「兵は二手にお分けください。童歌には『後ろに前に』とあります。
その姿が見えなくなってから、姫は床に崩れ落ちた。もう起き上がる力も残っていない。
意識が薄らぐ直前、血のにおいが鼻をついた。
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