第9話 暗殺の予知
翌日、陽が高く昇ったころ、
朝の執務を終えて、まっすぐここへ来たらしい。大抵は神社の別棟で面会するのだが、居住棟にまで来られたのは初めてだ。巫女たちが住むこの一帯は柵で囲われており、男子禁制だが、
「何か急用なのでしょう。
高床の階段をのぼると、年上の甥である
「居住棟にまで押しかけてすまぬ。急を要したのだ。……先日、大彦伯父が
内容が気になったので少女を問いただしたが、「吾は何も言っていません。歌っただけです」と要領を得ない。もしかしたら御神託かもしれない、と急いで戻ってきたという。
「叔母上も小さいころ、御神託を歌にしておりましたな。それで、解釈を伺いたいと思い、こちらへ参った次第だ」
どのような歌でしたか、と姫が訊ねると、
己が緒をしせむと、
後ろに前に行き違い、
窺わく知らにと、
これは、緒をしせむ、つまり魂を
その旨を伝えると、
「やはりそうか。で、首謀者は誰だ」
いちばん怪しいのは、
「姫、占いですぐに反逆者を割り出して欲しい。他の三将軍が出払っていて、人手がない。謀反ならば、すぐに応戦しないと」
鳥飛びを用いれば、相手に見つからずに偵察することはできる。が、月の障りで霊力が落ちている今、遠く
しかし、断れば
姫は手の甲に筋が浮かぶほど拳を握りしめた。不可能だと思っているのに、反対の言葉が口をついて出る。
「やってみましょう」
結果は後で伝えるから一度お戻りを、と言ったが、気の短い
姫は集中するために、奥の間へ一人籠った。
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