第6話 疫病鎮め
西の空が赤く染まり出した。いよいよ、託宣を賜るための儀式が始まる。
巫女ばかりか
彼は、砂利の上に敷いた筵に座り、大きく息をついた。傍らの火打石を取り、カン、という鋭い音を響かせて火を起こす。素早く付け木に移し、細い木と乾燥した草で作った壇に点火した。炎が舐めるように木を這いあがり、薄闇の中で生き物のように猛る。
両手を振り続ける彼は膝立ちになり、頭も激しく振り始めた。空気のうねりが最高潮に達する。
来る。
姫がそう思った瞬間、
誰もが息を止めて、彼の背中を見つめる。
「……
低い声でうめきながら、
「このように、
「吾は、蛇神でもあり、龍神でもある。吾の棲みかである水を、常に清浄に保て。不浄のものは川に流すな。吾の神体である三輪山と、初瀬川、
声が二重に聞こえ、耳の中で反響する。
「……さすれば、
沈黙を破ったのは、久方ぶりに降り出した雨の音だった。
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