第5話 神占
その後も、
鏡は、
「『カガ』は蛇という意味ですからね。それに、まだ鏡が伝えられていなかったころ、人々は水に姿を映していました。かがんで見るから『カガミ』。つまり鏡は、蛇神であり水の神でもある、
続いて
昼を過ぎてから、彼は馬を借りて神社の外へ出ていった。
巫女たちの顔に安堵の色が浮かぶのを、姫は見てとった。自分もまた、
鳥飛びを使って、彼が何を調べているか偵察しようとして、姫は思いとどまった。
また見破られて、気触りなことを言われるのは我慢がならない。祭器や供物の手配、巫女たちへの戒め等、姫は
夕方、
「どうだ、祭祀の準備は進んでいるか」
声をかける王の白目がちな眼からは、早く結果を出せという無言の圧力が発せられている。
「しかし、新たに土器を焼くには時間がかかる。
自分が祭主になれば
彼は、何かを確認するかのように、西の方角を仰いだ。
赤い空の低い位置に、濃い紫色の雲が漂っている。微笑を浮かべてうなずくと、
「では、明日、占いを行って、神の意向をお聴きましょう」
翌朝、
木片などは自分で用意したらしく、神域の手前まで、彼の付き人たちが運んでいた。彼の住居は、神社近くの高台に
引っ越したばかりで不自由も多いはずなのに、用意がよすぎる。この地に三輪族がいたころの伝手でもあるのだろうか。
細長い木を組み合わせながら積む
「今のところ、姫にできることはありませんよ」
嫌味な笑顔を浮かべ、
その髭面をにらみ、何か言ってやりたい衝動にかられたが、姫は一礼してその場を去った。
昼過ぎには祭壇が完成した。細長い木を四角形に組み合わせたものが腰の高さほどに積まれ、中に乾燥した草が入れられている。
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