#27 - 特別なご奉仕、させてくださいっ - A special service for you -
とある休日。
わたし、
玲香「(ここね、新しくできた喫茶店っていうのは……
レトロでシックな扉を開けて、それとない感じで店に入る。
熟年「おかえりなさいませ、お嬢さま」
玲香「(ふーん、なかなか落ち着いた雰囲気のお店ね……)」
熟年「外は寒かったでしょう? 温かいお飲み物でしたら
すぐにご用意できますが、いかがなさいますか?」
玲香「ええ、お願いするわ」
熟年「こちらがメニューでございます。
お決まりになりましたら、いつでも
玲香「じゃあ、このレアチーズケーキとエスプレッソで」
熟年「
そういって、ベテランと思しきメイドは恭しくお辞儀をし、店の奥に引っ込む。
玲香「(それにしてもこの店、けっこう冷えるわね……暖房、利いてるの?)」
ひとつ身震いをすると、それまで意識していなかったところが気になりはじめた。
玲香「(トイレ、借りさせてもらおう)」
そう思ってまわりを見渡してみるも、それらしきものがどこにも見当たらない。
あとで店員に訊くことにして、とりあえずいまは我慢するしかなさそう。
玲香「(あれ、わたし、こんなにしたかったっけ……)」
トイレがなさそう、とわかるととたんに、あそこのあたりがむずむずしてきた。
はしたない話だ。でも、もしこのまま店を出るまでトイレができないとしたら。
玲香「(ぞくぞくっ)」
いやな予感が、いやでも頭をよぎる。
思わずわたしは、足を閉じて身体を縮こまらせてしまった。
玲香「(そんなこと……だめ、に決まってる……)」
未咲はどうしたのだろう。あの子のことだし、何かしら対策はしてたかも。
思い切って SMS で連絡をとってみることにした。だけど、返事はなく。
気づくとわたしの額には、うっすらと冷や汗が流れていた。
玲香「(きっと大丈夫……それほど長居するつもりもないし)」
もはやこの喫茶店を楽しむ余裕は、すでにこのころにはなくなっていた。
かわりに尿意のことばかり頭をめぐって、自分でもいやになりそうだった。
人は好き勝手におしっこができなくなると、ここまでみじめになるらしい。
玲香「(もうっ……はやく持ってきなさいよ……っ!)」
心の中の焦りをどうにも隠せず、ついに身体に出はじめたころ。
思いが通じたかは知らないけど、やっと若い店員がひょこっと顔をのぞかせた。
若年「は~い、お待たせしまし……ひゃあっ!」
玲香「わぷっ」
わたしの頼んだケーキとコーヒーが、こっちに目がけて飛び出してきた。
足元に何もないはずなのに、すってん転げてしまったドジっ子と思しきメイド。
そのドジっ子メイドが、何かを言いたげにこちらを見ている。
何を思っているのか全く
若年「ふえ~ん、ごめんなさ~い!」
玲香「……はぁ?」
びっくりするような甲高い声とセリフに、思わず目を背けたくなる。
そんな若メイドの目は、これでもかというくらいに潤んでしまっていた。
若年「はぅぅ……おこらないでください~……
めい、そういうのすっっっごくにがてなんですぅ~!」
玲香「落ち着きなさいよ、誰も怒ってないでしょ……」
めい「うそうそっ! その目はぜったいおこってます~!」
めい、と名乗るその女とわたしとは、どうも水と油な関係に見えてしまった。
うっわー、なんだかすごくめんどくさそうなのが出てきた……みたいな。
なんかよく見たら、見た目もどことなく未咲に似てなくもないような……。
玲香「ねぇ、そんなことより……」
めい「わかってますわかってます! めいがぜーんぶいけないことは!
いまからすぐにおそうじしますから! あ~ぁ、またやっちゃった……」
玲香「うん、だからその、ねっ……」
めい「なだめてくださるのはありがたいのですが、その目だけはっ……」
玲香「あのねぇ、こっちはずっと我慢してるの! さっさと片付けなさいよ……」
めい「ひぃぃっ!」
怯えられたって、このままでいいはずはない。
おだやかでいようと思っても、状況が状況なのでそうもいられない。
さすがにらちが明かなそうなので、ちょっと語調を強くして言うことにしてみた。
玲香「わたしの目をよーく見なさい……わたしが何を訴えたいか、わかる?」
めい「わ、わかんないですぅ~! ひたすらこわいだけです~!」
玲香「よ・く・見・て!」
めい「ひゃ、ひゃいっ!」
ひたすら何かを我慢している目。伝わらなければ死あるのみ。
玲香「ねぇ、これを見てどう、思うの?」
めい「うぅ……わ、わかりましたっ! わかりましたよっ!
いまこそあれを見せるとき、ということですよね……?」
玲香「は……?」
あれって何。
めい「わたしが身体を張って、ここで特別なご奉仕を……し、します!」
玲香「ご奉仕って何よ……」
めい「よーく、見ててくださいよ? 女の子に見せるの、はじめてですし……」
玲香「見せる、って……」
なんだか、これってちょっといかがわしい雰囲気になりそうな気がする……。
第六感が、そう告げていた。
めい「でもその前に、お嬢さまにも気分を高めていただきたいのです」
玲香「はい?」
めい「こちらを飲んでくださいっ。特製のりんごジュースですっ!」
玲香「あの……わたしが頼んだの、エスプレッソなんだけど」
めい「まぁまぁ、細かいことはお気になさらずに。さぁっ!」
玲香「(なんだかよくわからないけど……)」
くいっと飲み干せそうな量だったので、一気に飲むことにした。
すると、思っていたよりもすぐに効いたらしい。
玲香「うっ……!」
めい「最初はきついですけど、すぐに慣れますから安心してくださいっ」
玲香「なに、これっ……自分が、自分じゃなくなっていくみたい……」
めい「自分の意志にかかわらず、気分が高まるお薬が入っているのですっ!」
玲香「ふふ……ちょっとあなた……なんでもいいから、わたしの上に座りなさい」
めい「ふえっ? いいですけど……」
玲香「すきありっ」
めい「ひゃあぁぁっ?!」
気づけばわたしは、めいという子の胸の上にあるふたつのふくらみを掴んでいた。
自分でもわかるくらいに顔が赤い。耳まで真っ赤。おたがいにそうだった。
めい「やめてください~! わたしいま、すっごくおしっこしたいんです~!」
玲香「そんなの知ったこっちゃないわよ……おとなしくやられていなさい!」
めい「だめ~っ!」
わたしだっておしっこしたいのに……ちょっとくらい我慢しなさいっての。
おたがいの息が荒くなって、どことなく桃色に染まっているみたいだった。
めい「ほんとに、ほんとなんですぅ! だからせめて、せめて下だけはっ……」
玲香「遅かったわね! こっちはもうとっくにそこまで手を伸ばしてるのよ!」
めい「いやぁっ……」
弱々しい目をして、臆病なうさぎのように身体を震わせているめい。
かと思っていたけど、めいはあることに気がつく。
めい「あれっ……お嬢さま、もしかしてお嬢さまもおしっこしたいんですか?」
玲香「っ!」
気づかれた!
悟られまいとしていたはずが、うっかり外に漏れていたみたいだった。
それもそのはず、わたしはめいを座らせてから現在までずっともじもじしていた。
隠しきれていない尿意に気づかれるのは、時間の問題といえた。
めい「はやくおっしゃってくださいよ~。わたしだけかと思ってたのに~……」
玲香「ち、ちがっ、これは……」
めい「隠そうとしたってむだですっ! もうわたしには見えてます!」
玲香「何も見えてないくせに……」
めい「だったら、その手はなんなんですか?
我慢してないんだったらいますぐにその手、どかせますよね……?」
玲香「な、なによ……だいたいわたしをここでおもらしさせて、何が楽しいの?」
めい「お嬢さまの恥辱は、メイドのめいのひそやかな楽しみなのですっ。
おしっこがしたくてたまらないお嬢さまのその表情、めいは好きですよ?」
玲香「だ、誰がおしっこなんか……」
めい「さぁ恥じらいを捨てて、いますぐ楽になってしまえばいいのです!」
玲香「ばかっ、やめなさ……いまそんなとこ圧迫されたら……ひっ」
同じく我慢しているめいのおしりが、わたしのおなかにダイレクトに直撃する。
めいは自分もしたくてたまらないくせに、おしりをふりふりして楽しんでいる。
まるでマーキングする動物のように思えて仕方がない。わたしは限界を迎えた。
玲香「あぁっ、だめ、だめっ……」
顔を真っ赤にしたまま、わたしは決壊した。
椅子から雫が落ちてもなお、もじもじすることを抑えきれず、ただ恥ずかしい。
見ず知らずの女の子の前で、こんな失態を晒すことになろうとは。
わたしは耐えきれず、その場で泣いた。
玲香「ひぐっ、うぅ……」
めい「さぞかし気持ちがよかったんじゃないですか? さぁわたしの番ですっ!」
玲香「もう、どうだっていい……」
わたしは店を立とうとした。しかし、めいがそれを阻止した。
めい「だめですっ。わたしの恥ずかしいところを見るまで、外出は許しません!」
玲香「もういいでしょ、わたしは恥ずかしいの! さっさと帰らせて!」
設定を忘れてしまうほどの恥ずかしさ。もうほんとに耐えられない。
めい「だめぇ……?」
玲香「な、なによその目……」
めい「わたしだって恥ずかしいです……でも、もうげんかいなの……」
玲香「早くトイレにいけばいいじゃない。あるんでしょ?」
めい「ないですよぉ……」
玲香「そんなことってある?」
めい「したくなったら、駅前まで行ってしてっててんちょーに言われてます……」
玲香「てんちょーって言っちゃだめ!」
めい「あーん、その目いいですねっ。もっともーっと、めいにちょうだい?」
玲香「欲しがるメイドね……限りなく駄目に近い駄メイドかもしれないわ……」
なんか、いつの間にかわたしの目に恐怖感を覚えなくなっているような……。
もしかして最初から……?
めい「でもぉ、もし間に合わなさそうでだめなときは……
サービスとして、ご奉仕と称しておもらしすることが認められてるのっ!」
玲香「どんなサービスよ……ほんとにてんちょーが言ってるの? やばくない?」
めい「うそですごめんなさいっ、めいがさっきとっさに考えました……」
玲香「うそは良くないなぁ……店長でも誰でも、一度ならず何度でも怒られて」
めい「とにかくっ! さっきの蔑んだ目で、はしたないめいのおもらし見て?」
玲香「はいはい、さっさと済ませたら? わたし、ほんとに帰るよ。お代は?」
めい「きっちりいただきますっ。これ、ぜーーんぶ含めてサービスですから!」
玲香「はっ?! なんちゅう店なの、ここ?! ちょっと店長呼んでこよう……」
めい「待って! いますぐ出すっ! もらしますからちゃんと見てぇ!」
玲香「もう、なんなのこの店……」
何もかもがめちゃくちゃだ。とんでも店員のせいで、ここまで疲れなくちゃだめ?
すくなくとも店長は一ミリたりとも悪くない。悪いのは全部こいつで間違いない。
あと代金をただにしてくれないと割に合わない。わたしは何も間違ってないはず。
めい「はぁ、はぁ……いきますよ? めいの新鮮なおしっこ、出しますよ?」
玲香「この変態駄メイド……早くもらせよ……」
本音が漏れる。
それもパンツをはいたまま。気が狂っているとしか言いようがない。
誇らしげにこちらを見ては、準備が整ったと言わんばかりの満面の笑み。
ロングスカートをたくし上げて、わくわくと胸を高鳴らせているみたいだった。
めい「いま、おしっこが降りてきてますっ! 出口はすぐそこです!」
玲香「べつに実況しなくていいっての……」
言ったとおりに、めいは少しばかり下着を湿らせては少女のようにはにかんだ。
めい「あはぁっ……♡」
玲香「(うわぁ、きっつぅ……)」
こんなにもおもらしをエンジョイする女の子を、わたしは未咲以外に知らない。
もしかして未咲は、このサービスをいたく気に入ってわたしに勧めたのだろうか。
考えたくもない。
めい「なんだかすっごくいけない気分に……どうしましょう……!」
玲香「いや、どうもしないから」
いっそどうにかなってしまえ。そして仕事がおぼつかなくなるほど溺れてしまえ。
めい「じゃぁ、いまからおもらししますっ。よく見ててくださいね、お嬢さま♡」
玲香「(逃げたい)」
あったかい眼差しを向けられても、わたしは揺らぐことがなかった。
でも……一刻も早く楽になってほしい。
我慢し続けている彼女だって、きっと苦しいに決まっている。
めい「(はぁぁ、おしっこ、おしっこはやく、もうだめげんかい……)」
しかし我慢しつづけていたせいか、なかなか出てこない。
めい「(そんなっ……もうおなかぱんぱんなのに!)」
じたばたしはじめてきてようやく、様子がおかしいことに気がついた。
しかたがないので、わたしは手伝ってあげることにした。
玲香「どうしてほしい? いまはお嬢さまとか関係ないから言ってごらんなさい」
めい「そうですね……
とても恥ずかしいのですが、おしっこが出るところをさすってくださいっ」
玲香「いままでさんざん恥ずかしいことしてたあなたがそれを言う?」
めい「はやくぅ……(手足ぶんぶん)」
玲香「しょうがない子ね、まったく……」
なるべく何も考えず、わたしはめいの何もふくらんでいない股を触った。
冷静に考えたらいやらしいことなのかもしれない。でもそれどころじゃない。
これで彼女が楽になるんだったら、それでいい。とにかく無心で触り続けた。
めい「やんっ、お嬢さま、ちょっとはげしっ……」
玲香「薬の効果がまだ少し続いてるかもしれないわ……だけど、我慢して」
めい「我慢はもうこりごりですぅ~!」
気分が少し高まっているせいで、わたしまでまたもよおしてきた。
なるべく我慢はするけど……これは長くはもたないかもしれない。
めい「ちょっとお嬢さまぁ、手が止まってないですかぁ……?」
玲香「あの、ごめんなさい……わたし、ちょっとトイレに……」
めい「そんなのめいだって同じですよぉ!
わたしがおしっこ出せるようになるまで、トイレには行かせませんから!」
玲香「だったら早く出しなさいよ、このぽんこつおまた!」
めい「あっ、それっ、それすっごく効いてます! 続けてくださいっ!」
玲香「同性だから熟知してんのよっ、ありがたく思いなさい!」
めい「めいはうれしいですっ、こんなお嬢さまと出会うことができて!」
玲香「ほら、もうこっちも限界なんだから! これで最後にさせて!」
めい「でりゅっ、おしっこいっぱいっ……ひゃっ、~~~~~!」
最後のところは、ほとんど声になっていなかった。
同時にめいの下着は、存分に溜め込んだおしっこの色に染まっていった。
めい「しゅごい……ぷしゅいーって、音が、これ、ほんとにおしっこ……」
言ってることはとにかく、めいはとても気持ちよさそうに脱尿感に浸っていた。
おなかにも自然に力が入り、それまでの苦しみから解き放たれていくようだった。
玲香「ひとまず安心したわ。だけどこれ、片付けるの大変そうね……」
めい「そのことについてはご心配なく。めいがちゃんと片付けるのでっ」
玲香「わたしたち以外に人がいなかったことも救いね。
もしこの瞬間を、ほかの誰かに見られていたら立ち直れないだろうし」
めい「至極まっとうな視点です……
でもおそらく、みなさん空気を読まれたのではないかと思われます……」
玲香「どうして?」
めい「どうしても何も、このおもらしドジっ子メイドのめいが現れたとたん、
それまでおとなしくお食事を楽しまれていたお客さまが、
そそくさとお食事を済ませて、みんな帰っちゃいましたから……」
玲香「そういうのって、発さずとも伝わるものなのね……」
めい「でもお嬢さまだけは、逃げずにわたしに付き合ってくれました。
それがめいにとってはこの上なくうれしくて、つい粗相を……」
まぁ、いちおう逃げる素振りを見せてはいたんだけどね……。
玲香「わたしがいなかったらあなた、いまごろどうなっていたか……」
めい「想像もつきません。お嬢さまのご恩を大切に、これからもがんばります」
玲香「派手におもらししちゃったけど、まぁそのことは水に流しましょう」
めい「トイレだけにですか? なかなかうまいこと言いますねっ」
玲香「そんなつもりじゃないし、だいいちトイレでできなかったでしょうが」
めい「そういえばお嬢さま、おトイレには行かなくていいのですか?」
玲香「……いいわ、もう済ませたし」
めい「えっ……それって、もしかして……」
玲香「――じゃ、帰らせてもらおうかしら。お代はなしでいいわよね?」
めい「そうはいきませんよ~。ちゃんと払ってください~!」
玲香「なんでよ……で、いくら?」
めい「裏メニュー、ドジっ子めいのどきどきおもらしコースで、3900円ですっ」
玲香「高っ!」
絶対とっさに考えたし、まじでとるのだったら確実にやばい店になる。
どのみちもうこの店には二度と通うまいと、かたく誓ったわたしだった。
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