#24 - これから "好み" のお話をしよう

 教室に、いつものみんなが集まった。


 未咲「突然とつぜんなんだけどさ、わたしね~、お好み焼きにソースをかけるとき、

    はしっこまでらないと気が済まないんだ~。そういうことってある?」

 玲香「そうね……わたしの場合、ギターのチューニングがしっかりできてないと

    なんか気持ち悪いっていうか、そういうことはあるかな……」

 未咲「へー、そうなんだ~。

    それってやっぱり、玲香れいかちゃんのしっかりさんな一面だったり?」

 玲香「そういうわけではないけど……なんかどうしても気になっちゃうわね。

    ……突然なんだけど、未咲みさきはアイドルでは誰が好き?」

 未咲「えっ……なんか、ほんとに突然だね……その質問の意図いとは?」

 玲香「ただなんとなく聞きたくなっただけ」

 未咲「えーっとねぇ……わたしはやっぱり、

    最近よくテレビで見かける柴咲しばさき れいちゃん、かなぁ……

    歌もうまいし、なんてったってあのパフォーマンスがいい!

    『犬っくるしい愛嬌あいきょうで、あなたもイチコロ!』」

 玲香「あぁ、あの子ね……わたしはあんまり好きじゃないわ」

 未咲「じゃあ、誰が好きなの?」

 玲香「わたしはあの子、樫宮かしみや りん

    ました感じが苦手、って人もどうやらいるみたいだけど、

    わたしにはよくわからないわ。むしろあの感じがいいのに……」

 未咲「まぁ、好みは人それぞれだからね……春泉はるみちゃんは?」

 春泉「ハルミはねー……諌木いさき=クリステ=グリーンアイズ!」

 二人「「(誰……?!)」」

 春泉「彼女、とってもキュート! あと、ひとみはクール!

    いまだに彼女にかなうアイドル、いないと思う!」

 未咲「へ、へー……また今度、調べてみるねっ」


 げるようにそう言った。


 担任「あら、三人で最近のアイドルのお話ですか?」

 未咲「あっ、ろこ先生、おはようございます!

    はい、わたしのお好み焼きの話から、玲香ちゃんに突然アイドルの

    好みを聞かれて、そういう流れになりました~」

 担任「そうでしたか。先生の学生のころに好きだったのは……

    あっ、いいでしょうか、勝手にお話を進めちゃって……」

 未咲「それはもちろん! 続けてください!」

 担任「お名前がですね……

    なにせずいぶん昔なので、間違まちがっていても気にしないでくださいね?

    ……はい、申し上げます。大島おおしまきさきさん、という方です」

 未咲「きれいでしたか?」

 担任「はい、それはとても。ファンも大勢いらっしゃいました。

    現在は引退されて、後進の育成に力を注がれていると聞きます」

 未咲「わたしたちがいま好きなアイドルたちの中から、

    もしかしたら将来そういう立場になったりする子もいるのかなぁ」

 担任「間違いなく出てくるでしょうね。まだまだ先のことですけれど、期待です」

 うみ「アイドルかぁ、あたし全っ然くわしくないわ……」

 ロコ「わたしも……どちらかというとぬいぐるみのほうが詳しいかも」

 うみ「例えば、どんな?」

 ロコ「『ふわりん』っていう、お空にうかぶ雲みたいな

    かたちのぬいぐるみが特に好きでよく集めてるんだけど、

    最近そればっかりで部屋が散らかり気味になって困ってるんだ……」

 うみ「ぬいぐるみ界隈かいわいもなかなかに深そうだな……

    あたしはいつだって着の身着のままで生きてっから、

    そういうのにはほとんど縁がねーんだわ……ごめんな、みんな」

 ロコ「ううん、あやまらなくていいよ~。うみちゃんはそのままでいいんだから」

 うみ「……だったらいいけど」

 担任「はーい、そろそろ一時間めが始まりますから準備してください」


 そんな感じで、朝のひとときは過ぎていった。

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