#9 - 教室までの道 - road to our classroom - 6

 それからわたしたちは、よごれた下着を冷たい水で洗って、後ろ手に持った。


 未咲「いやー、たいへんおさわがせしました~……もう大丈夫だいじょうぶだよ~」

 玲香「ほんと、あんたってむかしからまるで変わってないわね……」

 未咲「そんなことないよ~、ちょっとくらいは成長してるよ、たぶん……」

 玲香「とてもそんなふうには見えないけど……未咲みさきはそう思うのね」

 未咲「うん! さっすが玲香れいかちゃん、わかってるぅ~!」

 玲香「(もう、これ以上は調子づかせないようだまっておこう……)」


 玲香「ところで、春泉はるみは?」

 未咲「えっと~……

    なんか急にずかしくなったみたいで、あとで来るって言ってた」

 玲香「春泉が来たら、教室にいるって言っておいてくれるかしら?」

 未咲「えぇーっ、玲香ちゃん先に行っちゃうの? つれないなぁ……」

 玲香「そういうのじゃないから。教室に入って予習したいだけ」

 未咲「なーんだ、そういうことか……玲香ちゃんまじめに勉強してるもんね」


 そう言って、玲香ちゃんは教室のほうへ向かった。

 廊下ろうかで春泉ちゃん待ちのわたし、ちょっとばかり足もとが冷えそうになる。


 未咲「うぅ~……さむっ」


 さいわい制服のすそが汚れずにんだのでよかったけど。

 もしこれもれてしまってたら、さらに寒気さむけが倍増してたかも。


 未咲「あっ、春泉ちゃんやっと来た。おーい、春泉ちゃーん!」

 春泉「お待たせー、ミサキ……あれっ、レイカはもう教室いったの?」

 未咲「うん。んで、わたしひとりでここで待ってたんだ~」

 春泉「そうなんだ。ごめん、わたし、なんかトイレから出にくくなって」

 未咲「恥ずかしくなったんだよね……わかるよ、春泉ちゃんの気持ち」

 春泉「いや、その、なんていうか……

    そこまで恥ずかしくはなかったんだけど、なんか、カラダが……」

 未咲「?」

 春泉「……気にしないで! これは、わたしのことだから……。

    それじゃミサキ、いっしょに教室いこう? さっきのはわすれて」

 未咲「?? ……まいっか。そうだね、いこう!」


 そうしてようやく、わたしたちも教室に向かうことにした。


            (教室までの道 -road to our classroom-・寒、もとい完)

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