第183話 剣士祭Ⅱ⑨

 次の日には剣士祭本選の抽選があった。本選に残ったのは八道場だ。


 聖都騎士団所属で昨年優勝のクレイオン道場、準優勝メスト道場、5位カンタロア道場。


 三騎竜の一角クリフを擁するガーデニア州騎士団所属の昨年6位ルトア道場、グロシア州所属の昨年3位ランドルフ道場、アストラッド州所属のスレイン道場。


 昨年に続き私塾として本選出場を果たし昨年7位イプロス道場。


 そして本選出場は12年振りのローカス道場。たった5人での出場は唯一だ。


 抽選が始まった。昨年優勝のクレイオン道場か一番に籤を引く。


「クレイオン道場第1試合」


 いきなりクレイオン道場の登場となった。次に昨年準優勝のメスト道場が引く。


「メスト道場第4試合」


 これで昨年優勝と準優勝は順当に勝ち上がれば決勝まで当たらなくなった。つぶし合いを避けられて籤を引いたラジステル=メストは一安心した。


 次に昨年3位のランドルフ道場が引く。


「ランドルフ道場第3試合」


 次は昨年5位のカンタロア道場だ。


「カンタロア道場第2試合」


 図ったかのように見事に昨年の上位道場がバラけた。これで今から籤を引く道場は昨年上位の道場との対戦が確定した。次は昨年6位のルトア道場だ。


「ルトア道場第4試合」


 ルトア道場はメスト道場との対戦となった。クリフが勝ち残ってくれないとロックと試合えない。相手は昨年準優勝だ、どうなるのかは予想できなかった。次は昨年7位のイプロス道場だ。


「イプロス道場第2試合」


 イプロス道場はカンタロア道場との対戦だ。次はスレイン道場だ。残るは第1試合と第3試合、クレイオン道場とランドルフ道場との対戦が残っている。


「スレイン道場第1試合」


 スレイン道場が昨年優勝のクレイオン道場との対戦となった。これで残ったのはローカス道場だ。


「ローカス道場第3試合」


 ローカス道場はランドルフ道場との試合になった。クスイーはアクシズとマコトで残って今も修行をしているので抽選会場には来ていなかったが、戻って報告すれは喜ぶだろう。待ち望んでいた対戦だ。


「クスイーは喜ぶだろうね。でも誰と対戦したいんだろう」


「誰でもいいんじゃないか。ランドルフ道場を負かすことができればいいんだろう」


 ロックは単純で良い。できればクスイーには勝って欲しい。それはローカス道場全員の願いだ。但し、今年は無理かも、とルークは思っていた。来年なら大丈夫だ。ただ今年は少し準備期間が足りなかった。


 アクシズは優秀な先導者だ。クスイーの基礎力は確実に上がっている。元々の剣速のとんでもない速さをいかに生かすかを考えて教えてくれている。ただ少し時間が足りていないことも事実だった。


 道場に戻って対戦相手を報告するとクスイーは複雑な表情を浮かべた。やりたかった相手だが自身の熟さも痛感していたからだ。


「うん、頑張ります」


 何か覚悟を決めたような顔でクスイーが言った。


(おい、今来ているぞ)


(判った、場所を教えて)


 ルークはジェイに不審人物の居場所を聞いて悟られないように回り込んだ。


「えっ」


 意外な人物だった。そこには二次予選て対戦したドーバ―道場のトリスティア=アドスレンが道場の中を伺っていたのだ。

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