第170話 剣士祭⑥
翌日、ローカス道場とヴォルデス道場の試合かあったが、やはり三人で簡単に終わってしまった。ヴォルデス道場の大将からは元道場主たちの行いの謝罪と再起への誓いを伝えられたが、ロックたちには特に感想もなかった。
「これで一次予選は突破したけど、こんなに簡単に勝ち残っていいものなのか?」
マコトが疑問を投げかける。
「いや、僕たちが強い、ただそれだけじゃないかな。二次予選は三人では終われない試合も出てくるだろうから気を引き詰めて行かないとね」
ルークはそう言うがロックには二次予選にも特に試合いたい剣士が見当たらなかった。
二次予選には会場にもなっている前年四位のダモン道場が出て来る。抽選の結果、ダモン道場とは二次予選の決勝でしか当たらない。
二次予選の最初の試合はバウンズ=レア公王領所属のドーバ―道場だ。一次予選をローカス道場同様三人づつで勝ってきているので副将や大将の実力は不明だが、試合を見た三人の力を見るとロックにはあまりうれしい相手とは見えなかった。
それよりもドーバ―道場に勝ったとすると次に当たるのは順当にいけばガーデニア州騎士団所属のゲイル道場のはずだ。
ゲイル道場は一度三騎竜を探しに行ったことがある。師範代のグランデル=ゲイルはとても強そうには見えなかったが三騎竜の一人クリフ=アキューズが丁寧に指導していたので弱い者も少なかったはずだ。その実力が発揮できれば当然勝ち上がって来るだろう。
二次予選は明日から始まる。ロックは自分の出番はまだまだ先か、と残念がっていた。
ルークが一次予選の結果を聞いて回ると、スレイン道場は順当に勝ち残っている。他にはルトア道場やランドルフ道場、クレイオン道場は一次予選免除で試合をしていない。
「二次予選も他の道場を見て回りたいから、三人で勝ち残っておいてくれるか?」
ロックが無茶なことを言いだす。
「駄目だよロック。ちゃんと五人揃っていないと失格になってしまう」
「そう言う規則なのか。それなら仕方ないけど、勝ち残れなかった道場にも強い剣士がいたかもしれないから本当は全部見たいんだけどな」
「ジェイに見て回ってもらうといいよ」
「なるほど、それで強いのがいたら教えてもらうか」
(なんだ、最近は忘れられてしまったのかとおもっておったぞ)
「おいおい、僕はちゃんと話をしているだろ?」
(お前は人使いが荒いだけじゃ)
「まあ、頼りにしているんだから、そう言うなよ」
「なんだルークは何かを頼んでいるのか?」
「ちっょとね」
「まあいい、ジェイ、頼むよ、色んな道場の試合を回って強そうなやつを見て来てくれないか」
(それはいいが、強い所の奴はちゃんと残るだろう)
「そう。だから負けた道場で強い剣士を見て来てほしいんだよ」
(それはいいが全部の会場を回れるわけではないぞ)
「判っている。例えばクレイオン道場やランドルフ道場に負けた剣士とか」
(判った。まああまり期待するでない。強い奴はちゃんと残っていると思うぞ)
「そうだよロック。強い剣士が居る道場はちゃんと残っている筈だよ」
ロックはとりあえず強い剣士とやりたい。強い剣士全員と試合たいのだ。
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