第155話 出稽古
「一応解決した、ってことでいいのか?」
「いや、多分終焉の地を使っていた黒幕がいる筈だけど、それを割り出すさないとね。けれど、彼らも闇ギルドとして依頼主のことは話さないと思うから、これ以上は無理かもしれない」
ロックたちはローカス道場に戻って残っていた三人に事情を説明していた。
「まあ、ヴォルデス道場も壊滅したし終焉の地の一派も捕まえたんだから、良しとしないと」
「俺は直接の仇を捕まえられたしな」
マコトの父親を襲った犯人はヴォルデス道場の関係者だった。そしてクスイーの父親の件も同じ関係者だった。クスイーからするとマコトの敵討ちを手伝っていたら父親の仇も一緒に捕まえられたことになる。
「まあ、一応は解決ってことでいいんじゃないか」
アクシズが纏める。アクシズには全く関係のない話だったが、次いでだと協力してくれている。何を内に秘めているのかは判らないが今のところは助かっているので問題は無かった。
「それじゃあ、やっと本格的に修行できるな」
「ちょっと待て、今までは本格的な修行じゃなかったのか?」
「マコト君、甘いね君は。ここからが地獄の特訓だよ」
「今までのが地獄じゃなかったって言うのか。ルークが言うと冗談に聞こえないから止めてくれないか」
「それが冗談じゃないんだな、これが。とりあえずはソニーに頼んであったアストラッド州傘下の道場に出稽古に行くから」
ソニー=アレスの手配によってアストラッド州傘下のスレイン道場で稽古をさせてもらえることになっていた。クスイーには特に実戦形式の修行が必要だ。いつも同じ相手では緊張感が足りない。
「よし、明日からは出稽古三昧だ」
ロックはすこぶる機嫌がいい。何にしても強い相手と試合えるのが嬉しくて仕方ないのだ。
次の日、朝から五人揃ってソニーから教えられたスレイン道場に向かう。途中、見知った顔に出会った。
「あら、こんなところで何をしているの?」
ルトア道場の師範ムルトア=シュタインの娘、アイリスだ。
「あ、アイリス、おはよう。今からスレイン道場に出稽古に行くんだ」
「へぇ、ちゃんと修行しているのね。それで少しは強くなったのかしら」
「アイリス嬢、クスイーはちゃんと相手と打ち合えるようになったんですよ」
ル―クがフォローを入れる。
「打ち合えるようになったって、それは当たり前のことじゃないの?それで強くなったことになるのかしら?」
「い、いや、それは」
「クスイーの剣の速さは知っているだろ?それが打ち合えるようになったんだ、強いにきまっているじゃないか」
ロックもフォローに入る。
「そうなの?まあ、せいぜい剣士祭までに怪我とかしないことね」
そう言うと相変わらず護衛のリンク=ザートを連れて颯爽と消えて行った。
「あの子はランドルフ道場に狙われてたんじゃないのか?」
「そうなんだよ。そもそもあの子が襲われたことが発端だったんだけど」
「あの子はあの子なりにクスイーを心配しているんじゃないかな」
「そうだとしたら素直じゃないな。クスイー、あの子にも強い所をちゃんと見せないと駄目だぞ」
「判っています。ランドルフ道場には絶対に負けません」
強い口調でクスイーは言い切った。
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