第54話 東へ⑧
(見つけたぞ。)
ジェイが先に入った男たちを見つけたようだ。巧妙に魔道で隠された地下に続く階段でもあるのかと思っていたら、どうも移動の魔道で直接地下に入るしかないようだった。それすら地下の存在を隠していたので中々見つからなかった。先に入った男たちの存在があったから見つけることが出来たのだ。
「ルーク、行けるか?」
「行ったことない場所は三次元座標が判らないと無理だよ。」
「座標?なんだ、それは。」
(それは我が何とかしよう。)
「なんだ、俺にもちゃんと説明しろよ。」
「ロックには後で説明するから。」
多分ロックに説明しても判らないだろうな、とルークは思った。途中で投げ出す確率が高い。
ジェイの指示によってルークの魔道で直接地下に移動する。一度に数人しか移動できないので、とりあえず地下で先行した男たちと出くわすことも考えてロックとルークが移動し、ルークが戻ってギャロを運ぶ、という訳だ。
ギャロが連れて来た人数は力づくで地下への通路を見つけるための人海戦術用だったので教会の1階で待機となった。本当は火薬で爆破して見つけるつもりだったのだ。ギャロは大胆すぎるのかも知れない。
ルーク、ロック、ギャロの三人が地下に入った。廊下が続いていて左右に扉がいくつかある。そのうちのどこかの部屋に先の男たちがいる筈だ。五人なら三人で十分御し得る。扉の中の気配をさぐりながら一つ一つ開けていった。
扉は全部で四つ。手前の左右の部屋には人の気配が無かった。奥の右の部屋。誰かが居る。
「開けるぞ、開けたらすぐに取り押さえる。」
「わかった。」
ロックがいきなり扉を開けて飛び込んだ。ルークとギャロも続く。入ってすぐに三人で四人を気絶させた。とりあえず一人残っていれば話が出来る。
「なっ、何者だ。」
こっちのセリフだった。
「お前たちこそ何者だ?ここで何をしていた?グレデス教会の関係者ではないだろう。」
「それはお前たちも同じだろう、ロック=レパードとルーク=ロジック、それと誰だ?」
こちらの情報を持っている。一体何者なのだろうか。
「何故俺たちを知っている。それとこいつは港湾局のギャロ=シプレックだ。」
「フィル=シプレックの息子か。」
「色々と知っているようだな、本当にお前は何者なんだ?」
「私は、言う必要は無いな。」
「ちゃんと話さないと港湾局で尋問することになるぞ。ここで何をしていた?」
「港湾局は関係ないだろう。教会関係者でもあるまいに。」
魔道士でも剣士でもなさそうな若い男はロックたちと同世代に見えた。どちらかと言うと文官に見えるが、頭は切れそうだった。
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