第52話 東へ⑥

 グレデス教会に戻ると先客がいた。五人ほどの男が大聖堂に入るのが見えた。信者には到底見えない男たちだった。


「誰だろう。ギャロが手配した人達かな?」


「いや違うだろ。ギャロの手配なら本人が連れてくるはずだ。」


「だよね。だったら何者だろう。」


「行って問い詰めるさ。」


「ロック、何でも剣で解決しようとするのは辞めた方がいいよ。」


「そうか?手っ取り場合からな。」


 それがいい時と悪い場合がある、とルークは思うのだがロックを積極的に止める気もなかった。


 男たちに続いてロックが教会に入ると男たちの姿はどこにもなかった。


「消えた?」


「いや、彼らももしかしたら地下への降り口を捜しているんじゃないかな。」


「老師に用があると?」


「判らないけど、他にこの場所に用がある風には見えないから。」


「そうだな。もしそうならこっちにも都合がいい。奴らが地下に降りたら後を付けるとするか。」


 とりあえず二人は隠形の魔道をかけて姿を消してから先に入った男たちを捜したがなかなか見つからない。


「ジェイ、見つからないか?」


(相手も隠形の魔道を使っておるようじゃな。教会に入る前は使っているようには見えなかったが、今は気配が無い。)


「そうか。向こうにも魔道師が居るってことか、これはちょっと手強いかも知れないな。」


 相手の素性が知れないうちには迂闊に手を出せない。また相手の力量も図らないといけない。こんな時にソニーが居てくれたら、とルークは後悔した。ソニーの方がずっと索敵に長けているのだ。


(ギャロたちが来たぞ。)


 ジェイが気が付いて伝える。ギャロが十人ほどの男を連れて追いついてきた。


「ルークさん、ロックさん、どこですか。」


 何も知らないギャロは不用意に大声で名前を呼んだ。先に入った男たちにも聞こえたかもしれない。二人は隠形を解いてギャロの前に現れた。


「びっくりした、何かの魔道ですか、いきなり現れないでくださいよ。」


「すまない。でも五人ほどの男たちが先に教会に入っていったのが見えたのでルークが隠形の魔道を使って姿を消していたんだ。」


「男たち、ですか。何者です?」


「判らない。もしかしたら俺たちと同じ目的なのかも知れない。」


「地下の用があると?それなら先に見つけてもらえると荒事を使う必要が無いかも知れませんね。」


 何をしようとして十人も連れて来たのか、かなり手荒なことを考えていたようだ。


「とりあえず全員で探そう。」


 ロックたちは相手に気取られているという前提で大っぴらに捜索することにしたのだった。

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