インクィジッション
「なるほど」
スミスは、そういうのが、やっとだった。
「あんたは、戦時捕虜扱いなんだよ、ゼロイチのスパイめ」
<バッド・ランズ>のマルテルの口臭こそ、煙草の煙でごまかされているものの、第二陣の煙草の煙がスミスを襲ってきた。
「安全に着陸した、エージェントはどうなった?」
スミスが尋ねた。
「あんたに教える義理はないが、あんたが早くギブアップしやすいようには教えてやろう多少は歩いたが、俺達の仲間がエアロ・キャリーでピックアップして、シャワーを浴びて、飯も食って、ビールくらい飲んで、もう寝ちまっているよ。スパイさんよ、付け加えるなら、スパイは見つけしだい、銃殺だ。あんたが、今生きているほうが不思議なんだよ」
スミスも押し黙っている。
「なにか、言いたいことあるか?最後の言葉になるかもしれんぞ、ミスター・スミス」
<バッド・ランズ>のマルテルが尋ねた。
スミスは、自分を落ち着かせるため、一息大きく吐くと。
「あんたらが信じている情報が真実だと、裏付ける保証はあるのか?」
「保証!?」
どははは、、、、、。<バッド・ランズ>のマルテルは大声えで笑いだした。
「マルテル、聞いてくれ」
「本当に訊くのは、こっちだがな」
「お前らが、きいているミッション内容は、俺がきいていた内容とぜんぜん違う、おそらく、その無事に着陸したやつが
どははは、、、<バッド・ランズ>のマルテルがまた大声で笑った。
「容疑者ってのは、大概、俺はやってないっていうものだぞ」
「分かったないな、スパイの世界は複雑なんだよ」
「逆だろ、シンプルだ、怪しいやつは、全員死刑にする。スミスさんよ、あんたが、言っていることが本当だっていう保証こそあるのか?」
<バッド・ランズ>のマルテルは、大きく身を乗り出した。マルテルの体臭さえ感じられるほどだ。
「ない」
「馬鹿じゃないのか、ふっかけているのはあんただろう」
「あったが、全部奪われた、あのキョンとかいう、ゼロイチの信者の女とお前らにだ」
「<キラー・ビー>のドランが探リに探ったらしいが、一般的な広域行政軍の官給品しかあの信者風の女の部屋にはなかったそうだぞ」
「ところで、あの女はどうなった?」
「俺達がゼロイチの奴らをどうしようと勝手だろう。これも教える義理はない」
スミスは、手錠も腰縄も付けていなかった。スミスは頭を抱え、頭を掻いた。
「スミスさんよ、簡単に行こう。誰の司令で、誰に命令されて降下した。あんたのそのミッションやらに直接関与してして知っているやつの名前を全部上げろ、それだけで良い。もし素直に全部喋れば、生命だけは、助けてやろう」
「保証するものが、なにもないのに、俺が喋っても無意味だろ、この作戦はもう破綻してる、中止すべきだ」
「始めて、妥当なこと言ったな、スミスさん」
「信じてくれと、言っても無意味なことはわかるが、俺が本物で、その無事着陸した奴が
「こっちが訊きたいね、それを信じる保証は」
「ない」
スミスは、いい切った。
また、<バッド・ランズ>のマルテルが大きな声を上げて笑った。
「俺が、嘘をここで並べ立てても、あんたらには、わからんだろう」
「嘘を言ってるってことだけはわかる、だから、あんたをすぐに銃殺にしようというやつも居る、大体、あんたは、ゼロイチの信者と一緒に居たんだぞ、俺達は、突入時に<ドラロス・ハイブ>のジャックをあの女に殺されている。あの女は今でも、ゴリゴリのゼロイチの信者だと見るのが妥当だろう」
さっきまでの勢いとは、裏腹にエージェント、スミスは椅子に深く腰掛け押し黙った。
そして、この部屋の様子と<バッド・ランズ>のマルテルをただ見るだけでなく観察していた。
このアミュでゼロイチ教団と戦って一年かそこらのこのヒーザンズははっきり言って、実際の戦闘経験はあるかもしれないが、正規の軍事顧問を受け入れてないせいか、プロ中のプロの元第67特殊師団<デス・ブリンガーズ>に所属していた、スミスから見れば、ド素人のド・アマチュアもいいところである。
まず、スミスが捕虜だとして尋問官が一人というのが、ありえない、平時の警察の取り調べでもないだろう。尋問官やそこの施政者は、その場を制圧していることが求められるというより、もし相手が反抗した場合に対処できるか常に考えて準備しておかなければいけない。これは、軍事警察組織という実力実行部隊の鉄則中の鉄則である。
力を使用し、制圧するための組織なのである。
そして、腰縄も手錠もなしで尋問していることがありえない、手錠をすれば、怯えるとでも思っていたのか、逃げるところがないと見ているんだろうが、これが最大の失策である。
この机を<バッド・ランズ>のほうにひっくりかえし、格闘戦に持ち込むだけでおそらく、スミスは、勝てるとそれこそ、制圧できると踏んでいた。
しかも、この<バッド・ランズ>はM-2890型の拳銃を腰に装着してた。装弾されていること間違いなしである。スミスは入室したときから、M-2890の安全レバーの位置まで把握していた。しかも、このハンド・ガンは旧式ながら、銃身の下のダブル・コンボに分子間力破砕弾が4発も装弾されていた。武器を持って尋問もありえない。
これ以上、情報を得られることはないというときに、打って出ようと思っていた。
このヒーザンズとやらは、ダメだ、所詮、適当に小火器の武器を持って教団と撃ち合って喜んでいるだけだ。
「おい、スミス、どうした、なんとかいえ」
その時だった、部屋の中の警報が鳴った。
「あーどうした?、」<バッド・ランズ>のマルテルが壁にあるインターフォンを取ろうと席を立って、スミスに背を向けた瞬間に、スミスは瞬時に立ち上がると、机を下からひっくりかえし、その机の板ごと<バッド・ランズ>に押し付けた。
「おい!」振り向きかけた<バッド・ランズ>の側頭部に丁度机の角が当たるように、エージェント、スミスはぐっと力を入れ直し、さらに押し上げた。
<バッド・ランズ>のマルテルは頭と机で鈍い音を立てると、いとも簡単に昏倒した。
スミスは、即座に拳銃M-2890を手に入れると、装弾状態を確認。分子間力破砕弾は4発。通常のマガジンには、ロングマガジンには19発。急いで、<バッド・ランズ>のマルテルの全ポケットを探る。得られるものは、全部得る。兵士は盗賊やドロボウとも同種同族なのである。
警報は、なりっぱなしである。火災か、まさか。
予備のマガジンと<バッド・ランズ>のマルテルの生体認証カードが役に立つのかどうかわからないがIDカード。その時、爆発音が聞こえた。火薬だけだと、軽い音になる場合があるが、思い物体が壊れる重い音に可燃物が燃えるときの特有のぶわっという、鈍い音。
これは、戦闘。
敵襲だ。
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