レッツ・スタート
一番最初に、エージェント、スミスが惑星アミュに到着して行ったのは、自分が負傷していないか確かめることだった。
これは、空間機動歩兵の第67特殊師団<デス・ブリンガー>に所属中から叩きこまれ植え付けられたものだった。
全く予想しない突発的な出来事、光、音に巻き込まれたら、とにかく自分の健康状態を確認する。
あまりのショック状態で痛みを感じないときもあるからだ。大概の兵士は股間をまずチェックしたが。
人は、自分の状態が把握できなお時程、利き足を伸ばしたり、探ったりして、状況を把握しようとする。
どうやら、右足を支柱のようにして、落下したらしく。右足が若干痛むものの、歩けないとか移動できないほどではない。
エージェント、スミスは、殆どの装備を失っていた。なぜならこれは、予定外の降下だったからだ。装備は、すべて<ウィーバー>の小さな貨物室に入れてあった。
おそらく、機体ともども全て燃え尽きたであろう。
身につけているのは、アミュでの位置を把握する簡易PSロケーターに、カロリーにして三食分のレーションに、M-2289ハンドガン、拳銃だ。ただし、銃身下部に取り付けられた二発の分子間力破壊弾は健在。しかし、ポップアップ式でたった二発しか射撃できない。
それと、搭乗員用のヘルメット、メットも殴れば武器になるかもしれない、この星間航行が可能になった現代戦には、哀れな武器だが。
もっとも、シビアなのは、レーションより、水だった。人は古代の戦いから水野補給並びに携行が大問題だった。食事は、食べなくてもなんとのなかったが、水だけはどうにもならない。
空間機動歩兵の初等教育で習ったのは、、、もう覚えていない。確か、八時間に250ccだったっけ。
違う、十二時間に300ccか。食い物は我慢できても、水を飲まずには、人間工学的に医学的に動けなくなるのだ。本当に水だけは、人間は飲まないと動けなくなる。
古代の将軍も、水の補給を受けながらか川伝いに進軍していたのだ。大航海時代の船乗りも真水にいつも気を配っていた。
水は、500ccもなかった、スーツの内側にかろうじてある、粗末な非常用の250ccのパックだけ。今から激しい戦闘するわけではないので、節約すればなんとかなりそうだったが、二日と持たないだろう。動けるうちに、動くか、諦めるて、ゼロイチ連中に降伏するか。
水のせいで降伏するとは、元<デス・ブリンガー>も堕ちたものだ。
しかし、これだけは、如何ともしがたい、というのも、惑星アミュは、広域統合行政局によってきっちりテラ・フォーミングされた惑星だった。
しかし、ゼロイチ教団の連中がとんでもないことをしていた。
非核分裂最能爆裂弾を自身の惑星の二つある月の一つへぶち込んでいた。もちろん意図的にだ。
一つの月を失った、アミュは、まず、自身の月の破片が重力で落下し、大損害を受けた。
そして、重力による潮汐力の変化で大津波が各大陸、各島を襲った。そして、海の川への遡上。
重力バランスの変化による、地軸の変化で気候も激変した。要するに、せっかくテラ・フォーミングされていたもにが、あっという間に、壊れてしまったのだ。
もっと簡単にいえば、アミュは干上がった。水を失った。
アミュは、岩と瓦礫と砂漠の土地へとなっていた。
この大災害で多くのどころか、大概の人間は死んだか、アミュを捨てた。
しかし、残った人々が居た。
ゼロイチ教団である。
彼らは、自らの手で口減らしを敢行し、苦しむ人々を高い教塔から眺め、自身の教義に誤りがないことを信者に幹部どうしで、話し合い、この惑星アミュを自分たちのものにした。
これが、惑星アミュの現代史でもある。
ゼロイチ教団は、アミュのことをニューアミュと読んでいた。そしてこの月爆破をニューボーンと呼んでいた。
すべてが、この時から始まったのである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます