ダウン・トゥ・ユー
<フレキシブル・ビッチ>のハンガー兼カタパルトは思いの外、広かった。搭載機のたタービュランスは定数に足りていなかった。
ジョン・スミスが尋ねた。
「タービュランスが少ないみたいだが」
スミスのシートベルト周りや、インジェクションシート系、アミュ星のデータ入力をしていた整備兵が答えた。
「今度、新型機が来るんですよ、それで、開けとけって、、」
軍はその中枢部や組織の政治力よってどんどん大きなっていく。また、予算を獲得していくことそのものが、政治力となる。
「時代は変わったな」
ジョン・スミスはメットを被りつつ言った。
整備兵が言った。
「アミュ星の全データ、ロード並びにブート出来ています、ご武運を」
「俺は兵隊じゃない。戦いに行くんじゃないよ」
「みんな噂してますよ、あなたは、元第67特殊師団<デス・ブリンガー>の最高のキャプテン。<ライト・プリンガー>だって」
「キセノン機関が適当に作った、名義だ。抹消されたか、偽造されたか誰にもわからん」
ジョン・スミスの搭乗する、一人乗り大気圏降下用ぐらいだグライダー、アトモス・ライダー<ウィーバー>が彼が登場する機体を含めて、四機カタパルトにセットされている。
「そんじゃ、フェイズどおり、デコイを三発降下させますんで」
整備兵が<ウィーバー>のハッチを閉めると、離れていった。
ハンガーのエアロックのシグナルがイエローに変わり、ウォーニングサウンドが弱くだがしっかりなりさけぶ。
ハンガー内のスーツを来ていない航宙水兵は、皆、気密ブロックへと急ぐ。
<ウィーバー>のコックピット内は、計器オールグリーン。全システム・オール・グリーン。長距離隠密降下なので、もう既にパッシヴ系のセンサーしか作動していない。
無線封鎖並びに、レーダー等のアクティヴ系はオールダウン。
ハンガー内のシグナルが、レッドへ。
カタパルトに圧力が高まっていく静かな作動音が<ウィーバー>を通じて感じられる。
射出カタパルトを兼ねてるハンガーのスーツを着た作業員がゴー・サインを最も原始的な方法で伝える。
小さな、水蒸気とともに一機、一機と<ウィーバー>が打ち出されていく。
三機めが、ジョン・スミスの登場した、唯一"有人"の<ウィーバー>だ。
恐ろしい、加速感を味わったあと、<ウィーバー>は打ち出された漆黒の闇と下に見えるのは、雲に覆われた赤茶けたの半球形のアミュの大地だ。高度は、丁度、三万ミル。
<フレキブル・ビッチ>は、ギリギリの高度まで、任務どおり、高度を下げている。
ゼロワン野郎どもの、監視レーダーに捕らえられなくて、且つアミュの重力に捕まらないギリギリの高度だ。
ジョン・スミスの頭上では、もう既に<フレキシブル・ビッチ>が船体下部のスラスターを全開にして、上昇しようとしている。
あの艦長らしい。嫌なエージェントを文字通り打ち出し、さぞかし、次の食事を待ちわびていることだろう。
打ち出された<ウィーバー>は全部で四機。速度、角度、方位すべてランダムに打ち出されている。
もうジョン・スミスからは、光の粒同士にしか見えない。
ジョン・スミスの<ウィーバー>はわざと、二回アミュの大気に対し、浅く入り、川面ではね飛ぶ回転させた石のように、弾き飛び、加速し、方位と角度を変え、再突入を試みる手はずになっている。
用心には、用心を。深い角度で突っ込み、アミュの大気との摩擦で燃え尽きる用に航路設定されている<ウィーバー>もいる。
スミスの乗った<ウィーバー>の下部が赤く光ったのが、スミスにもコックピットから感じられたら、ものすごい衝撃が、機体に響き、続き、衝撃と振動。
ワン・ヒット・フロム・ザ・アミュいや、フロム・ザ・ゼロワン。
スミスは機体が、跳ねて浮き上がるの押さえ込み、更に、次のジャンピング・ポイントへ。加速しつつ転進。
計器系は全部デジタルながら、一回大気に弾かれた瞬間、消えた。
「嘘だろ」
アトモス・ライダーで降下したことは、それこそ、通勤チューブなびに搭乗したことがあったが、こんなことは、はじめただ。
あの艦長の意趣返しか。
「まさかな」
デジタル表示の全計器は採点灯。
次のポイントまでの誤差が表示され、メット内に警告音が響く。
「電気消したろう、ちゃんと働かないやつは、ドナルデア星系では飯抜きだぞ」
スミスは、スティックとフットペダルで座っているものの、まさにサーファーのように<ウィーバー>をあやつり、針路デレクターになるべく沿わせる。
二回目のジャンプ。これで、予定では、ゼロワンの地上レーダーの追跡は完全にマイたはずだ。
前方には、ゼロワンの連中が破壊した、アミュの二つあるうちの破壊された一つの月が目の前に迫っている。瓦解した月の破片は、今や、重力の関係でアミュ自身と月の間を微妙な楕円形を描いて、秒速九〇ミルという信じられない速度で回っている。アミュの太陽サファイアに照らされて赤い粒が飛び待っている。文字通り天然の岩石ミサイルだ。
あそこまで、入り込むと、多分命はない。
<フレキシブル・ビッチは>上昇していった。もうスミスに帰るところは、アミュの大地にしかない。
スミスも、これは、ちょっとやばいかなと思いだした。一回目のジャンプの衝撃で電力が一回とんだときに、実際の飛行すべき、降下角度と航路と"ズレ"が生じた可能性がある。
心配しだすとキリがない。
電源が入り直すと同時に位置を確認し直し、計算し直しているはずだと確信。
二回目のジャンプ。
高角度は、レッドサインのままだ。
マズい。アミュの大気で弾けるか。
信じられないくらい、大きな、衝撃と振動が再び。それと機体下部からの紅い光。
スミスの<ウィーバー>は、弾けなかった。そのままの角度で降下。
「えっ」
<ウィーバー>は、今度は、電源を切らずに、警告音を最大に流しだした。姿勢儀、方位計はすべて真っ赤。
「悪いが、これじゃ、見えないよ」半分本気、半分冗談。
<ウィーバー>のCPUが必死にスミスが"死なない"降下角度、機体のとるべき姿勢をリ・レンダリング。
スミスも自身でアミュの大気圏高度と、<ウィーバー>の再突入時の速度高度、角度、重力を軽く計算してみるが、二桁の掛け算から紙に書かないと出来ないことを思い出し、
<ウィーバー>のメインフレームに頼ることにした。
スミスのごく平々凡々たる人並みの操縦テクニックで、計器の姿勢儀、方位系に必死に合わせる。
出来ることがあるうちは、まだ楽だった。必死にメインフレームの言うことに機体を沿わせる。
フラッター、振動がすごすぎる。対応できない。
今度は、気体温度にエラーサインが出だした。これだけは、コックピットではコントロール出来ない。
「こりゃだめかもな」
口に出していってみた。状況を口にだすことで、客観性が生まれ、冷静になれるとキセノン機関の養成所でなく、死をもたらす<デスブリンガー>の教官がおしえくれた。
軍隊万歳、戦争万歳、つでに、最後にこの任務に万歳。
<ウィーバー>の機体下部の温度が、設計限界温度を越えている、正確には、らしい。
スミスは触って確認したわけではない。
「こりゃダメだわ」こんな風な死を迎えるとは思わなかった。多分敵のスパイキャッチャーに捕まり、拷問を受けて死ぬか、どこかの国境沿い地雷原で敵国の捕まったスパイと交換最中に、味方の狙撃兵に射殺されるといつも思ってた。
と、思った瞬間。
エージェント、スミスは燃え始めている<ウィーバー>から打ち出された。
今度燃えるのは、スミス自身らしい、<ウィーバー>のメインフレームは、スミスに火刑を処した。
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