緑がふえました

 庭に、福寿草が咲いた。

 朝のニュースで桜並木が映った日、外では雪が降っていた。

 それでも日々を過ごすなかで、春の訪れを着実に感じている。なにせ、福寿草が咲いたのだ。大地から短い茎をのばし、茶と白の景色に鮮やかな黄色を見せつけてくる。そうなるとそろそろフキノトウが顔を出してもおかしくはない。

 けれどまた、雨は夜更け過ぎに雪へと変わった。

 雪は嫌いではない。ただ春を心待ちにしているために、それが遠ざかる気がして憂鬱になるだけだ。

 昨日は吹雪といっても許されるような悪天候で寒くてしかたがなかった。しかし今朝から空は晴れ渡っているためにたいへん暖かい。窓際なんてとくに。

 最近のみゃーこは母から贈られたねこかまくら、には入らず。上に乗ってへこませることでベッド化させ、そこでまるまって陽の暖かさを享受している。うらやましいことこのうえない。一緒に昼寝をしたくなるときもある。なにせ昼間はほとんど眠っているのだ。

 みゃーこの眠るそばにある窓際では、カネノナルキさんに日光浴をさせている。これは以前、祖母からわけてもらって鉢植えにしたものだ。祖父が亡くなったときにもらってきた。今年の秋で四年のお付き合いになるらしい。徒長気味なのと、近頃葉っぱのふくよかさが失われつつあるのが気になっている。植え替えをして新しい土と肥料を与えたいところなのだが、まだ冬を拭い去りきれないから悩ましい。

 今日の昼間は十度以上あるようなので、玄関先に出してみている。新鮮な空気をめいいっぱい吸うんだよ。どうか森の鳥獣にちょっかいをだされませんように。


 台所の窓は横に広くとってあって、料理をしたりしてそこに立つとき緑がよく見える。今は白と茶しかないけれど。

 窓辺に物を置ける幅があるので、ここぞとばかりに緑を置いてみた。豆苗と、ぷにぷにの多肉植物さんだ。豆苗はのびきってもう一度食せば別れなければならないが、多肉さんは末永くたたずんでいてほしい。

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