六角形

 かじり始めた在宅ワークに欠かせないのが、もらったスキャナーと三色ボールペンだ。むしろスキャナーをもらったからやり始めようと思ったくらいなので、こいつはなくてはならない存在である。しかし三色ボールペンはどうだろうか。ほぼ日手帳を予約したときについてきたおまけである。「ボールペンはジェットストリーム」という妙なこだわりを持っていたおかげで、使う機会がとんとなかった。ところがどうだ。よくよく調べてみると私の好きなジェットストリームの三色ボールペンではないか。試し書きのときに書き味は抜群だと評価していたくせに、どうして気づかなかったのだろう。ともあれそういう経緯から、ペン立ての飾りからレギュラーに昇格したのである。三色である必要はまったくなかったが、赤ボールペンというものが他になかったため、というとやはり補欠合格みたいなものだろうか。

 そうして三ヶ月ほど一緒にがんばってきたのだけれど、先日お亡くなりになってしまった。というのも、本体部分にヒビが入って折れてしまっていたのだ。いつからそうだったのか気づきもしなかったので、みゃーこのせいにもできない。濡れ衣といえば、春先に両親が訪ねてきた際、外から香ってくる牛のスラリーをみゃーこが粗相したと勘違いしたことがあった。きちんと誤解はとけて名誉は守られたわけだが、またそうであったらいけないので原因不明ということにしておく。

 話を戻すと、私と三色ボールペンの関係は太いペン軸をあまり好まないこともあり、まだまだ浅い。学生の時に流行った振りシャー(本体を振って芯を出すシャープペンシル)も、軸が太くて私にはあわなかった。グリップ部がぐにょぐにょしていて面白かった記憶がある。当時から変わらず好きなシャープペンシルは六角形の細軸であり、実は三色ボールペンの跡継ぎとして買った赤ボールペンもカランダッシュの六角形にしたものだから、好みというのは変わらないらしい。

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