第52話 意外な協力者?
いつの間にか部屋の片隅に、あの他の大陸の勇者?パーティの、青い髪の女子が立っていた。
「そう警戒しないでもいいよ。あいつらとは別行動だし」
黒いブーツをつかつかと鳴らし、女子は俺たちの近くへとやってくる。
「そっちの女騎士さんは別として。レベルのひく~いアンタたちが、何の準備もなしに危険に頭突っ込んで無事で済むと思うわけ?」
もちろん、無事で済むわけはない。それでも俺たちが行かなければ、シルヴィアは……。
「雑魚なら雑魚なりに、工夫しなよ。世の中には“アイテム”っていう便利な道具があるっしょ? 例えば」
そういって、青髪の女子は肩からかけている白く小さな鞄のようなものを漁った。そしてそこから取り出したものは、青い液体の入った瓶だった。
どう見ても、あの小さい鞄に収まりきらない大きさなのだが……。
「ちょっと飲んでみ?」
「え? あ、ああ」
恐る恐る、それを飲んでみる。
瞬く間に、身体が軽くなる。先ほど受けたダメージが、全て消えていくようだった。
「これは……ハイポーションか?」
さりげなく俺から瓶を受け取り、液体を口にしたレインが言う。あ、間接キス。
何故かミーアも、瓶を受け取って液体を飲んでいた。疲れてたのかな。
「きゃはっ。そんなやすっちいもんじゃないよ。あ、ちなみにそれ、10,000G(ゴールド)くらいするから、後で返してねー」
ぶはっ!
い、いち、いいいぃぃぃ10,000Gだと!?
(※1G=100円相当と思ってください、この世界では)
「ふむ。能力で足りない分は、アイテムで補えと言うことか。しかし、今からアイテムをかき集めている時間は……」
10,000Gという数字を聞いても表情一つ変えないレインさんが言った。
本来ならいいとこのお嬢様であるレインにとって、10,000Gなんて大した金額じゃないみたいだ。金持ち怖い!
「だったらウチが力を貸してあげてもい~よ~? 今、暇だし。こっちの方が面白そうだし。でも、それなりの報酬はもらうけどね~。どする?」
青髪の女子は、不敵に微笑む。
背に腹はかえられない状況。
俺は悩んだ末、決断した。
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