第51話 それでも!
「鉱山……そうだ、鉱山だ!」
医者が突然、大きな声を上げた。
「鉱山の奥に、あらゆる病に効くといわれる薬草があったはずです!」
「それがあれば、シルヴィアは助けられるのか?」
「残念ながら……確実に助かる保証はありません。しかもその薬草はレアアイテム……そう簡単には見つけられません」
しかも、鉱山の中にはアイアンマイマイという恐ろしいモンスターが生息している。そもそも町の近辺のモンスター騒動で、無事に鉱山までたどり着けるかどうかも怪しい。
「お兄ちゃん……」
ミーアが心配そうな顔で俺を見る。
俺とミーアの今のレベルでは、どう頑張っても、鉱山の奥にたどり着くことは不可能だ。レインも、先ほどのサイクロプスとの戦いで大きく体力を削られている。
どうすることもできない。
それでも。
それでも……。
――恐怖に立ち向かう勇気。何事にも決して折れない心――
さきほどのレインの言葉が頭によみがえる。
「……鉱山に、行こう。シルヴィアを助けるために」
俺の声は、震えていたかもしれない。今、俺たちが諦めたら、シルヴィアが助かる可能性はないんだ。
「アーティ殿。よくぞ言った。私はその勇気に応えよう」
レインが俺の背中を強く叩き、笑う。
「お兄ちゃん……ボクも、頑張るからね!」
「よし……それじゃあ、鉱山に向かおう」
「うん!」
その時だった。そいつが、俺たちの前に姿を現したのは。
「きゃははっ! 弱っちいのに無理しちゃって、うける! しかもそんなボロボロの状態で行っても、無駄死にするだけだよ~」
「……お前は!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます