第27話 理解不能☆

 不思議なことが起こった。

 突然、髪の長い男が「うぼぁ」と言ってボコボコと吹っ飛んでいった。

 しかも、俺に突き刺さるはずだったナイフは全てそれていた。ただ、手がすごく痛い。

 今の一瞬で、何が起こったんだこれ? ほんの一瞬だけど、夢というか幻を見ていたような……

「きゃははっ! うけるうける! おっさん、ちょーすげーとんでった!」

「んなぁっ!? て、てめェ! 何をしやがったーっ!」

 金髪の男が剣を抜き、俺に向かってこようとするのが見えた。


 ――!


 一瞬身体が宙に浮いたかと思うと、突然、何も聞こえなくなった。

 そして訪れる、キーンというひどい耳鳴りと肌を焦がすような熱風。あついあついあつい!


 俺と金髪の間の地面が――大・爆・発!

 

 あわわわわわわわわわわわ……何だこれ、何だこれ!?



『フン。キサマはミーアに気にいられるようだからな。特別大サービスだ』

 炎からそんな声が聞こえてきた。


「あちい! あっちい! 髪がやける!」

「きゃはははっ! 髪がアフロになってる~! 映写魔法で”いんすた”にあげとこ」

「笑いごとじゃねぇし、なんだ”いんすた”って! くそっ! 何なんだ一体! もう、やってらんねー! 帰るぞ!」

「なぁんだ。もうおしまいかー。つまんないのーー」

「おい、ポンコツ! おっさんひろってこいよ」

『カシカシカシカシカシコマリマシタシタシタ』



 炎が静まると、すでに連中の姿はなくなっていた。



 本当に……何が起こったんだ。

 理解がおいつかない俺は、その場に立ち尽くすしかなかった……。

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