第23話 自問自答
「なら、あいつらと一緒に行けばいいだろ!」
「……なんですって?」
「俺は別にお前についてきてほしいって頼んだ覚えはない。あーだこーだ言われる筋合いもないんだよ! 俺のことが気に食わないなら、勝手にどこへでも行けばいいだろ!」
シルヴィアがなんともいえない表情になるのを見て、俺は後悔した。しかし、口から出た言葉はもう取り返すことはできない。
「……あっそ。わかったわ。それじゃね」
シルヴィアはづかづかと歩き出し、そして走り去ってしまった。
あたりがシンと静まり返る。
「――あぁぁぁ! やっちまったー!」
俺は頭を抱えてしゃがみこんで悶絶した。
「お兄ちゃんは悪くないよ。あんな風に言われたら、怒って当然だよ」
ミーアは俺の頭をなでて慰めてくれる。その優しさに、つい甘えたくなってしまう。
けれど、それじゃ駄目だ。これまで散々、自分を甘やかしてきた結果が、今の自分なんだ。
繰り返すのか、俺は。いじけていた、あの頃に戻るのか、俺よ。
俺が弱くて情けないというのは、紛れもない現実だ。そんなの自分がよく知っていることだろう。それを突きつけられたからって感情的になるなんて、それこそ情けない。
いつまでもこんな現実から逃げ回ってばかりでいいのか。これでいいのか、俺。そんなわけがないよな、俺。
なら、どうすべきか。わかっているはずだ、俺は。
「ミーア。シルヴィアを追うぞ」
「え……でも」
「頼む」
「……うん、わかった!」
そして俺とミーアは、すでに姿が見えなくなったシルヴィアを追い、走るのであった。
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