第9話 ゆめ?

 気が付くと、真っ白い部屋にいた。俺は何故か、椅子に座っていた。

 夢? 夢なのかこれ。それにしてはやけにはっきりとしているような。

「初めまして、アーティさん。私の名はヨシュアです」

「あ……初めまして」

 俺の前に、すごく背の高い、細身の男が立っている。髪は長く、銀髪。眼鏡がきらりと光る。その奥の瞳は冷たい色をしていた。

「単刀直入に言います。ミーア様にこれ以上干渉しないで頂きたい」

「え? あ、あの」

「質問は受け付けません」

 その男の背中から黒い霧のようなものが出てきて、俺の首にまとわりついた。とても冷たくて、とても熱くて、痛い。めちゃくちゃ痛い。叫ぼうにも声がでなかった。

「ミーア様と共にいれば、貴方には禍が降りかかることになるでしょう。この意味がわかりますか?」

 男は手にナイフを持っていた。その先を、俺の胸に突きつけてきた。

 脅されている……みたいだ。男は俺を睨んでいる。その目をみた途端、震えが止まらなくなった。歯ががちがちと鳴っている。汗やら鼻水やら涙やらが噴き出して、床に落ちていく。


 怖い。

 殺される。

 ――死にたくない。まだ死にたくない。死ぬのは嫌だ!

 

「約束してくれますね? 今後、一切、ミーア様には近づかないと」

 男の顔が近くに来る。

 俺は……俺は。

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