第6話 俺、お兄ちゃんになりました

 俺はミーアの頭をなでなでした。

「さ、さびしかったらいつでも……お、俺のことを、お、お兄ちゃんって呼んでもいい……からな?」


 しーーんとした静寂。

 ミーアはきょとんとして俺を見ている。

 風がさーっと流れていく。俺の血の気もさーっと引いていく。

 しまったぁぁぁぁぁ! ミスったこれ! アウト! アウトなのか俺!

 何言ってるのこいつ、キモイ! とか思われてるんだろーな。うわっ、やっちまったー! あーあ、あーあ、あーあぁぁぁぁ!! 恥ずかしい!

 そしてミーアはさらに泣いてしまった。そんなに泣くほど嫌だったか。あぁ、これにて俺のパーティライフは終了か。早かったなぁ……。


「うぅ……ありがとう……ありがとう、お兄ちゃん!」

 泣きながら、ミーアは笑った。


 ――ああ。ミーアがいい子でよかった。本当によかった。どうやらまだ、このパーティで冒険が続けられそうだ。まだ2人だけだけど。


「それじゃ、行こうか。ルゴーの町へ」

「うん! お兄ちゃん! えへへ」

 ミーアはとても嬉しそうだ。


 こうして俺にかわいいかわいい妹ができてしまった。


 まぁ、いっか。ミーアが嬉しそうなのが何よりだ。

 出来の悪い兄だが、妹のためにこれから頑張らなきゃな。かっこ悪いところを見せないようにしなければ。

 

 旅は、まだまだ――始まったばかりだ!

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