第4話 ありがとうございます!

 右肩近くに矢を受けてしまった。

 痛い。めちゃくちゃ痛い。でも、声はあげない。女の子の前で泣くわけにはいかないからな!

 迂闊に抜かないほうがいいかなーと思っていたら、刺さった矢は消えていた。魔法で作った矢だったのか。なるほど、だからあんなに連発できたのか。

「はわ……血……はわわ……どうしよう! あ、あんたがトロいからいけないんだからね!」

 何か俺よりもエルフの方が慌てふためいている。

 俺は恐る恐る自分の肩を見てみたが、そんなに血はでていなかった。思っていた以上に浅く刺さっていたらしい。危なく恥ずかしい思いをするところだった。

「よくもアーティさんを……!」

 きっ、とミーアの目がつりあがる。でもかわいい。

「な、なによ。やるつもりなの?」

 エルフが矢を構えた。手が震えている。血がかなり苦手なようだなぁ。

「てぇぇいっ!」

 ミーアの手が光り輝く。そしてそこから、炎の球がエルフめがけて発射された。

「で、できた!?」

 あれは、炎の初級魔法ファイアだ。

 回復魔法だけじゃなく、攻撃魔法を発現させたということは、ヒーラーというわけでもないのかな。というかこの時点で俺のステータス抜かれたんじゃないだろうか。ちょっとしたショックだ。


「きゃあっ!」

 エルフはファイアの直撃を受けた。

「あつい! あつっ!」

 エルフの服はよく燃えた。というか傍観している場合じゃないなこれ。水、水……。

「う、ウォーター!」

 あたふたしているとエルフが水の魔法で、自ら炎を鎮火した。

 ――あ。

「もう! 熱いじゃないのよ! って何、じっと見ている……の?」

 エルフは自分の身体を見て、やっと気がついた。


 そう。


 ――素っ裸になっていることに!

 白く美しい肌。くびれた腰。うん。それに、小ぶりだけど、とても形がいいおっぱいですね!

 グッジョブ、ミーア!

 俺は顔がにやけそうだったが堪えて、あくまで平静を装った。

 俺は上着を脱ぎ、そっとエルフの肩にかけてやった。

 紳士のようにふるまい、微笑み、しかし、その裸体はしっかりと目に焼きつけておいた。


「はわ……はわわわ……いやーーーーー!!!」

 エルフは顔を真っ赤にして、泣きながら去っていった。

 よし――俺たちの勝利だ!!


「……アーティさん」

 はっ、しまった。ミーアに変な風に思われてしまっただろうか。

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