第3話 怖いよエルフさん
耳の尖った、金色の長髪の女の子がそこにいた。
エルフ、かな。多分。
「いきなり何をするんだ! 危ないじゃないか」
「うるさい! 森を荒らすニンゲンめ! どうせお前も、この先にある森を荒らすつもりなんだろう!」
はてさて。ルゴーの町の北にある森のことを言っているのだろうか。
確かポーション(回復薬)の材料となる薬草が豊富にあり、数多くの勇者たちが足を踏み入れているという話しだったっけか。
エルフの少女……といってもエルフは長寿らしいから俺よりずっと年上かもしれないが、とにかくそのエルフは弓矢を俺に向かって構えている。力を込めているのが、ギリギリという音からわかる。あれ、俺の脳天狙ってるなぁ。
ミーアはすっかり怯えて、俺の後ろで震えている。これ、避けたらミーアにあたるんじゃないかな。あれ? もしかしてこれ詰んでる?
「よし、ちょっと落ち着こうか。何も俺たちはきみの森を荒らしにきたわけじゃない。ただ、そこのルゴーの町に行きたいだけなんだ」
「……ニンゲンは信用できない」
「よし、わかった。武器を置く。あと、これを見てくれ。俺たちは冒険初心者だ。レベルを見てくれればわかる。きみの森を越えられるほど、まだレベルが高くないだろう?」
俺は安物のロングソードと手帳を足元に置いて後退した。
「ミーア。きみの手帳も置いてくれるかい?」
「は、はは……はい!」
ミーアが慌てて、地面に手帳を置いた。
「確かに……弱いな。うん、これはかなり弱い」
エルフがぱらぱらと俺の手帳をめくる。
胸が痛い。ぐさっとくるわ。弱いのは事実だけどよ。
「そっちの女は……うん、これも弱い。ん?」
エルフが急に硬直した。そして、ふるふると震える。
「おっぱいでかいじゃん! むきー! むかつく!」
やっぱりそこに目がいくのか。
「あ! あ、あうあう」
ミーアの顔が真っ赤に染まる。エルフも真っ赤になっている。怒りで。
「あたしに対する嫌がらせだな! 許さない!」
うわー。矢がいっぱい飛んできた。俺たちは逃げる。逃げる逃げる。
「まてー! このやろー!」
びゅんびゅん矢が飛んでくる。どうやればこれだけの矢を放つことができるんだ。多分、スキルなのだろうけれど。
「きゃっ!!」
ミーアが転んだ。まずい。
俺はとっさに、ミーアの前に立った。
「ぐっ……!!」
「アーティさん!?」
俺は――
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