閑話 ミルファーとデート
あるとき、突然ミルファーから誘われる。
「ケンゴさん、また根を詰めてるんじゃないですか? せっかくですから外に散歩にでも行きませんか?」
別に緊急でするようなこともなく、ちょうど人心地ついたところだったのでミルファーの誘いに乗ることにした。
するとミルファーはうれしそうに顔をほころばせていた。
そして,俺たちは町中へと繰り出した。
特に目的もなかったのでのんびりと見てまわる。
「ケンゴさん、見てください! あそこで新しい家が建ってますよ」
ミルファーが指さしていたのは自分で家を建ててる人だった。
本当に一人で家を建てていくんだな。少し興味深かったのでじっくりと見ているとミルファーが笑い始める。
「ケンゴさんって本当に建築物好きだよね」
「そうかな? この世界の建築は俺の世界では出来ない魔法を使ってのものだから興味があるだけだよ」
「でも、本当にそれだけでしたらそこまで熱中しないものだよ」
ミルファーが相変わらず笑いながら言ってくる。
それにつられるように研吾も小さく笑みを浮かべていた。
その後、適当に見て回った研吾は小腹が空いてきたのでミルファーに案内してもらい、昼食をとることにした。
といってもミルファー自身もあまり店を知っている方ではなく、結局通い慣れた定食屋へ行くことになった。
「すみません、もっと雰囲気のあるお店に行けたらよかったのに……」
「へっ? 俺ここの定食好きだよ。おいしいし、値段も安いもんね」
「そう、そうなんですよ! 安くておいしいんですよ。しかも食材はここのおじさんが自分で採りに行っているみたいで新鮮そのものですし、秘伝のタレも昔から伝わっているものを使っているみたいで……」
早口でまくし立てるミルファーを見ていた研吾は自然と笑みがこぼれる。
「もう、笑わないでくださいよ!」
それを見たミルファーがふくれ面でそっぽを向く。しかし、ちょっと立つとミルファーも苦笑いを浮かべ始めた。
そして、届いた料理を二人食べる。やはり、ミルファーのおすすめと言うこともあってその料理はとてもおいしかった。
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