山吹のみのひとつだに
出先で雨に遭った男が、近くの民家で
「雨具を貸してくれ」
と頼むと、その家の女は黙って山吹の花を一枝差し出しました。男は、頭上で枝を高速回転させて雨を飛ばしながら、帰っていきました。
「そういう受け止め方は想定しなかった……」
女が呆然と、後ろ姿を見送っています。
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