第4話 崩壊と後悔

「あたな知らないみたいだから教えとくわね」

と、お姑さんの持って来た帳簿、ここまで書いてるとわかりますね自営業の嫁になったのです。その自営業を引退するお姑さんから聞いた話や見たことは色んなことが現実に引き戻されました。


私の知らないXさんの収入、お店の帳簿、そしてXさんが趣味にしているバイクに今現在かけているお金でした。

金、金、金がなかったものがあったんだ。あったものが無いようになっていたが正しい?


辻褄があっていきます。 現ナマで一括支払いしていたお姑さんの新車の車。増えたバイクにバイクの為に借りた倉庫。

別居が長引き引き払った新婚時代のアパート。

あ、汚い。お金ってこんなドス黒いんだ。

私は一年間の育休がおわり自営業復帰の話をしていたはずが頭に入って来ませんでした。

「すみません、私そろそろ保育園の迎えもありますし帰ります。 とりあえず復帰の出社時間は保育園に送り次第九時過ぎ今はなります。でも、出来るだけ早くこれないかは復帰してからまた相談させて下さい。」

1人車に乗り込み、訳もわからず実家に帰りました。


「お母さん、どうしよう」

母も絶句、父もため息、子供達は雰囲気にのまれていました。泥棒騒ぎは?いくら税金やらあるとしてボーナスもあったの? オムツ代もギリギリな日があるから貯金下ろしていたのに? あの人たちは宇宙人じゃなかった。

悪意があるかはわからないけど、私が知らないことがいっぱいありました。

お金をきちんと稼いでる社会人でした。人でした。私が知らなかった人でした。


電話が鳴ります。着信Xさん。

「おまえ、母さんに何言ったの?母さんから出社時間早朝でも大丈夫って言ってたってきいたよ?そんなはずないのになんでそんな嘘ついた訳?」

そんな、こと私はいってません。 出来るだけ早く出社できるようにはしますとは答えましたが、九時過ぎになるとお伝えしました。

「その言い方がまずかったんじゃないの?考えてもの言ってないから母さんパニックになってるんだけど、どうするの?」

私は、きちんと九時過ぎにと伝えてます。どうしてそのような話になって、Xさんが怒っているのかわかりません。

「だからぁ!あんたがさ!勘違いさせるような言い方したせいでお母さんがそれで予定組んでるの!責任とってよ!」

何も間違ったことしてません。

「はぁ?謝らないわけ?どうしてくれんの?」

勘違いさせるような言い方も、ご迷惑もかけてません。それより、今日お給料の話とかを見たんですが…。

「だから嫌がらせなわけかぁああああ!」

今はXさん興奮してますから、明日話しましょう。

「逃げるんだな!」


プツッ

電話では怖いので切りました。

鳴り止まない着信音、めーるには「出ろ」「人げん扱いして下さい」「せなやぬたぬさ」などわからない文字が何通もきます。

怖くて、怖くて携帯を母に渡して泣きました。

「もしもし、Xくん…。」

漏れ出るさけび声にしばらくして、父が変われと言います。

「きみは何を考えているんだ!それが声を荒げる内容か⁉︎そんなことで、嫁も娘もないているのか⁉︎いい加減にしなさい!」

話にならないから電話はでなくて、電源を切りなさいと両親に言われ。

階段で、膝を抱えて泣いていました。アレが人なら何故話が通じないんだろう。考えても、考えても頭はグチャグチャです。


「ママ、またパパに虐められたの?」

そう、いって階段の影から顔だけ長男が出してきました。 驚いて、抱きしめて、違うよ、違うからね、ごめんね泣いてと言い訳をしましたが。

「ママ頑張らなくてもいいよ。」

と、続けて長男は言います。出来るだけ見せなかった口論、喧嘩、お互いの悪口はどうもお見通しだったようです。


離婚しなきゃ。


私は前のようにXさんには事前連絡なしに調停に足を運び手続きをしました。

結婚生活なんてのははじめからなかったんですから。

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