第3話 狂乱
「お前癲癇の発作持ちなの?」
そう、聞いてきたXさんにはそのようなお話をした覚えはなかったです。結婚準備にはいりお姑さんさんが色々拡大解釈をするごとにこのような話が飛び交います。
お腹には長男がいました。ストレスからか妊娠初期は安静を言い渡され、つわりも酷く精神的に脆くなりやすい時に追い打ちをかけてくるのがXさん式です。
此処までされて何故別れないのか?
簡単です。怒鳴られることに慣れてきたんです。泣く事にも慣れました。
婚姻届けを出した日も何か罵倒された気がします。 もうどうでもいいんです。
お腹には触ってくれません、悪阻は気持ち悪いから見たくないから他所でやれと言われました。
それでもはじめて産まれた長子にあの人が投げかけたのは
「俺子供嫌いなんだよね」でしたっけ。
可愛いとは言われなかった私の赤ちゃんを抱いて病室で静かに泣きました。
書くのは難しいですね。 思いが溢れて私は今も不安の中にいますから。横にいる長男の寝顔が可愛くて仕方ありません。
私は少し強くなりました。でも、待っていたのはお姑さんとXさんの喧嘩の仲裁でした。
20歳直前、目の前で起こっている事実が私は信じられませんでした。
顔は真っ赤で、目は血走り、怒鳴り散らしながら胸ぐらを掴むXさん。お姑さんも泣きながらでも文句と、愚痴を吐き捨てます。
瞬間、胸ぐらを掴んだだまま揺さぶりはじめたXさんを急いで止めに入り
「くるな!」
と、言われて足を止めました。それでも落ち着くように説得し、お姑さんにも今はいいから口を出さないでXさんが落ち着くのを待ちましょうと宥めます。だいたいが仕事の最中に起こるので仕事の時間が押して行きます。
そして最終的に2人の仲裁に入ったが為に2人の愚痴を聞きご機嫌とりにいったり来たりをするのです。
仕事が無い人は携帯電話へXさんと、お姑さんから交互に着信がきます。
勿論ただの業務連絡もありましたが、だいたいは2時間、長くて4時間かかる喧嘩の仲裁です。
耳が片方難聴になり、料理の品数が多いと怒られ、彼が近隣の女性と卑猥な会話をSNSでやりとりをしているのを見て離婚しよう決心がつきました。
最初の離婚調停です。が、これは私に平謝りしてきたXさんにより和解してやり直す事になったのです。
条件付きの離婚の和解は、何も守られることはないまま同じ結婚生活が戻ってきました。
唯一守ってもらった「しばらく別居」の生活がまさか一生暮らすことがなくなるとは誰も想像してませんでした。
鳴り止まない電話、深夜2時に出なかったと怒られ、友達と遊びに行きたいから出れないと言っても聞いてくれません。 当時流行った着うたをこんなに恨むことになるとわ。
私の頭の中ではまだ鳴り止まないあの歌を口ずさむたびに、彼へ届けばと思います。
セックスも所構わずになってきます。すぐ側に子供が、襖一枚越しに姑さんが…。仕事だと呼び出されてはセックス、セックス、セックス
「嫁なのにやらせてくれないなんて意味がない!!」
やめて、しないで、心とは反対に喜ばせるための処世術を学びます。 男性器の扱い方、色んな性癖の方がいて、実際好みも多様なことをこの時しっかり見定めました。
私が今セックスアピールが激しいのはこのあたりのせいですかね。
私が我慢をしていればいい、私が変わればいいと言う考えと、この人は私を愛してくれてるから叱ってくれるんだというストックホルム症候群のような状態になりました。
愛してると何度も私が言葉にして縋る。そしてセックスしなければ愛されないと認識する。
この頃ありましたのが生活費問題。私が使い込んでいると言い張るXさんに対して証拠もない。 唯一あるのは家賃が引き落としができなかった、貯金がなかったということ。
私は無知で、銀行って引き落としがなければマイナスとして借金みたいになると勘違いしてたんです。ちょうど行き違いで引き落としができなかった時の話です。
正直言うと生活費はたりてませんでした。毎月独身時代のお金を切り崩していました。世に言う経済DVというものにあっていたんです。
にも関わらずXさんは止まりません。私の父が激怒し父の通帳から生活費を全額返金しました。
DVの男性には波があります。優しい次期と怖い次期、ずっと暴力を振るう訳ではないんです。 どうやらコレを書いてる間にXさんは優しい次期に入ったようですね。私はこれに何回騙されてきたのでしょうか。
生活費使い込んだと言う言いがかりはハッキリ「泥棒だ」と言われたのが頭に突き刺さって今も抜けません。アレがDVの怖い次期だったんだろうと今はわかります。当時は私には怒鳴り散らす彼が人間ではなく見えてきてました。
アレは宇宙人だ。
勘違いでしたと、謝りにきたときたしかお姑さんも来ました。お姑さんも私の育児の時間や睡眠時間、喧嘩でついでに私に暴言を吐いた張本人でしたから。
待ち構えてた両親は拍子抜けしたそうです。
「あら、今回はすみませんねぇ。」
と、にこやかに笑うお姑さんに絶句。泥棒云々の話は何と聞かされてないまま来たそうです。
あ、宇宙人が2匹に増えた。
私の心の安定を保つためにも宇宙人の襲来は一番近い現実逃避でした。言語が通じない。
それからも喧嘩はやみません、とうとう私まで突き飛ばされることもありました。長男は泣いてる私を撫でてくれるまで成長し、私は現実逃避の中ドップリ浸って成長を辞めてしまいました。
次男の妊娠、出産はあまり記憶にないのはそのせいですね。
狂っていった私の頭に次男誕生から一年、歯車が噛み合うことが起こりました。
はじめてXさんの収入を知り、足りない生活費の行方を知ったのです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます