第3話リア充モルモット

わたしの名前は秋山さくら。女子高生だ。


昨日、わたしに奇妙な出来事が起きた。


わたしの何気ないツイートが現実になったのだ。


ツイートは実際に起きたことをつぶやくんじゃないのか、とか、そういうことは置いておく。


過去形のツイートをした後に、それが現実としてわたしの直ぐそばで起きたんだから、奇妙というほかない。


「放課後さー、カラオケいかねー?」


クラスのリア充が騒ぐ。リア充と呼ばれてはいるが、DQNとの違いが果たしてあるのか。


「俺もいくわ」


「あたしもー」


頭の悪そうな男と、頭の悪そうな女が、頭の悪そうな声で、頭の悪そうな返事をする。


「ほか誰か誘う―?」


「秋山は?」


チャラい男がわたしの名を挙げる。迷惑。


すると、


「えー、あの子さー、暗いじゃん。つまんなそー」


チャラい女が反対する。それはいいけど、あんた達の方がつまんないよ。絶対。


「さくらはオシャレしたら化けるって」


化けなくていいから、名前で呼ばないでよ。


「なに名前で呼んでんの?てか、地味子が好きなのー?ウケル」


「すぐヤレそーだしな!ギャハハ!」


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『リア充たちが校内放送で職員室に呼び出された。職員室に向かう途中でリア充たちは窓ガラスを割って、一週間の停学処分になった』


ツイート。ぽちっ。


「夏休みになったらさー、どっかいかね?」


「海!海に行こー」


「あー、いいねー海」


あれ、なにも起きない。いや、これが普通か。少し期待したんだけどな。


がっかりした。


《2年3組の後藤、前田、木村、松本、原田、至急職員室まで来なさい。繰り返す―――2年3組の……》


校内放送だ。わたしの背筋に再び鳥肌が立つ。


「なんで呼び出されてんの?」


「なんもしてねえって」


愚痴をこぼしながらリア充たちは教室を出て行った。


わたしのツイートに、リツイートが何件かついたみたいだけど、今は見る気にならない。


確かめないと、わたしのツイートがどこまで現実を変えるのか――――。

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