第2話戦慄。

二人のイケメンは目を閉じてイヤホンから流れてくる音に耳を澄ましている。


どうしよ、写真だと音がするから、動画撮影してアップロードしようかな。


わたしは足を組みスマホの位置を高くする。


イケメン二人にカメラの照準を合わせて動画撮影を始めた。


撮影している間、それを気づかれないように画面をスクロールする素振りをみせる。


十秒ほどで撮影を切り上げ、動画から画像を作成した。


『証拠』 画像を添付。


ツイート。ぽちっ。


すぐにリツイートが来た。


『まじかよ』


『イケメンか?』


『盗撮は犯罪だから』


『イケメンきたー』


さっきよりもリツイートが好意的だ。


『この電車、△△線じゃね?』


『映ってるやつ同じ大学だわ』


わたしは冷や汗をかいた。


わたしが乗っているのは▽▽線だったが、撮影場所を特定されるのは危険だ。


すぐにツイートを削除した。


『見れないんだけど』


『何で削除したの?』


『だれか魚拓とってない?見逃したんだけど』


わたしは目を閉じて呆然とする。


やっぱり画像や音声はアップロードしてはいけない。


「やっぱ三遊亭どくまむしは面白いな」


目を開けてドアを見ると、先ほどの二人組が三遊亭どくまむしについて話ながら電車を降りて行った。


わたしの背筋には鳥肌が立っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る