第2話不登校のベテランと転校生のシンジン

 突如彼女は俺に学校に行こうと誘ってきたのだ。

 てか、学校!?君と行くの!?俺が!?

 嬉しい気持ちも反面、こんな俺でいいのかと自分を殴りたい気持ちもある。


「早くしないとー遅刻しちゃいますよ?」


「え…あ…うん」


 特に家に居てもやることなんかなにもないし手もつけられない。

 まず、彼女の誘いを断ることができなかった自分が悔しい!


 部屋で制服に着替えた。

 自分でもびっくりはじめて着る制服だもん!新鮮味が違いますね、はい。


 玄関まで下り、待って居た彼女を見る、そうすると彼女も俺の部屋から戻ってきた俺を見て、お互いに目が合う。


 ※目をそらしたのは俺だけでした。


「さっ!いきましょ!」


 ウキウキとした表情でこちらを伺ってくる。


 うん、君のテンションにはついて行けそうにはない。

 そして、思い出して見ると、勢いに流されて学校に行くことになっているが、帰り道が…。


「大丈夫ですよ…!」


「え?」


 彼女が俺の目を合わせて、語りかけてくる。


「帰りも一緒に帰りましょう」


「え、帰りも…?」


「はい!先生から聞きました!南雲君は帰り道に困ってるから学校に来れないと!」


(昨日の電話はこれのことかっっ!!!!!)


「だから…私でもよければ…南雲君の送り迎えしますよ…?」


 うわ、その上目遣いやめてっ!僕行っちゃうから、断れなくなっちゃうから…!!


「わ、わかった…とりあえず行こうか…」


「はい!」


 元気な表情をした彼女。

 登校ルートは俺でもわかってる、そしてその登校中に彼女会話した回数0!!


 いや、だってなに話していいかわからないじゃないですか。

 え?コミュ障だって?いやいや、こんな美人さんが横にいたらなにも話せないでしょ。


 学校に着くなり、色々と状況が変わった。


「えーっと俺のクラスは…」


 俺は自分のクラスの確認、当然だが周りはみんな知らない人。

 だが、昨日越してと言う北野さんと言うと…。


「おはよー北野さん!」


「あっ…おはよ!」


 などと、あらゆるお友達から声をかけてもらってモテモテ状態ですか、へぇ、そうですか、そりゃ、そうですよね。

 こんな美人だったら男なら黙ってられないですよね!!


「クラスは私と同じですよっ!」


 俺が戸惑っている時に、横にすっと入り込んできた彼女。

 どうやらクラスは同じらしい。


 去年からずっと同じ高校の俺と、昨日越してきたばかりの転校生。


 知ってる知識が違いすぎる!!


 さて、無事クラスにたどり着いたわけなんだが。


 さらにここで俺に問題が発生する。


 どの席に座ればいいのかわからない…。

 周りはもうすでにできているお友達とのリア充会話の猛襲。

 俺とってのダメージがっ!!


 奥の席で右手をブンブンと振り回している北野さんがいた。


 俺はキョロキョロとして俺だと確認する。

 そしたら北野さんは縦に頷く。


 俺は北野さんの席のところまできた。


「南雲君の席私の隣だよ!」


「あ、そうなんだ…へぇ…」


 最後の「へぇ…」ってなんだよ絶対入らなかったじゃん!そこは「ありがとうだろ」俺!


 すでに人気者なのか北野さんは、そりゃそうだろうなこんな美人が転校してきたってなればそりゃそうなるわ。


 対して俺は…。


 いぇす!ぼっち!


 あれーおかしいなぁーこの学校ー去年から通ってるはずなんだけどなー(棒)


 悲しくなる…。


 教室に生徒がたくさんいる中

 北野さんが俺にささやかな声をかけてくる。


「帰る時も、一緒ですからねっ?」


「…っ!」


 その上目遣い反則じゃないですか!?

 俺がコミュ障じゃなかったら速攻告ってフラれてたよ!フラれちゃうのかよ!!


「あ、助かります…?」


 教室に居た男子生徒から痛い目で見られる。

 そりゃクラスの美女をこんな、お前居たっけ?みたいなやつに構ってもらってるんですからね。

 そりゃぁおかしな話ですよね。


 すいませんねぇ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る